しまんちゅシネマ

映画ノート

ブッチャー・ボーイ


1998年(アイルランド
監督:ニール・ジョーダン
出演:イーモン・オーウェンズ/スティーヴン・レイ/フィオナ・ショウ/ショーン・マッギンレイ/ピーター・ゴーウェン
【ストーリー】
アイルランドの片田舎に住む少年フランシーは、親友ジョーと仲良し。両親が次々に死に孤独なフランシー。
そんななか、ジョーと二人でいじめていた少年がジョーと仲良くなっていたのを知り・・
  
■感想
ベルリン特集 4本目!
今日は第48回ベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)の『ブッチャー・ボーイ』
ニール・ジョーダン監督による、ちょっと痛い青春ファンタジーですね。
ジャンルはコメディとなっているけど、笑えない。
むしろ私には悲しいお話でした。

舞台は米ソ冷戦時代のアイルランド
主人公のフランシーには仲良しのジョーという親友がいます。
神経を病んでいた母が死に、アル中の父(スティーヴン・レイ)と暮らすフランシーは
減らず口を叩く、ちょっと変わった少年。

彼は町一番お高くとまったおばさんが大嫌い。
どなたかのユーザーレビューにこのおばさんは「大英帝国の象徴か」と書かれてましたが、なるほどです。
フランシーはそのおばさんの息子フィリップをいじめていたのだけど
ある日、乱暴をとがめられ、更正施設に入れられているうちに
親友のジョーとフィリップが仲良くなってたんですね。
 
自分の愛する者たちが次々にいなくなる
孤独な少年の心はその事実に耐えられず、フランシーは幻想と狂気の世界に陥るんですが
誰もフランシーの孤独を分かってあげないのが辛いし、
外見的に明るく装ってるところが痛々しいんですよね。
 
ニール・ジョーダン監督の作品にはいつもアイルランド紛争が出てくるのだけど
今回は冷戦による核戦争の脅威を背景に描いています。
四面楚歌に置かれた状態で狂気に走るしかない少年を描くことで
アイルランド自身の姿を描こうとしたのでしょうか。
 
劇中にフランシーを見守る存在としてマリア様が登場するのに
結局は何の助けにもなっていなことや、神父の描き方に
宗教を皮肉ったところも見て取れます。
 
辛い環境にいながら健気に奮闘する姿をちょっぴりコミカルに描いた『プルートで朝食を』に
通じる部分があるかもしれません。
ちょっと切ない作品でした。
 
日本劇場未公開。
 
 
 




 
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