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映画ノート

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙


 
メリル・ストリープが元イギリス首相マーガレット・サッチャーを演じる伝記映画です。
監督は『マンマ・ミーア!』のフィリダ・ロイド
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(2011) フランス
監督:フィルダ・ロイド
出演:メリル・ストリープジム・ブロードベント/ハリー・ロイド/アンソニー・ヘッド
 
恥ずかしながらサッチャーさんのことも元英国首相 程度の認識しかなかったので
鑑賞前に軽くウィキペディアでお勉強していきました。
 
冒頭、コンビニ風のお店で牛乳を買おうとするおばあちゃんが年老いたサッチャーさん。
ここで、下院議員時代に学校の無料牛乳を廃止し
「ミルク泥棒」と呼ばれたなどの予習事項が頭をよぎったけれど、映画はそれには触れず
軽く片足をひきずり、前傾姿勢で家路に向かうサッチャーさんを映し出します。
 
おやっ?と思ったのは店ですれ違った客も、道を歩く人たちも
誰もサッチャーさんに気づかないこと。
これが鉄の女と呼ばれた元英国首相の今の姿なんだなぁと感じさせ、掴みはOK。
 
映画は、年老いたサッチャーさんの回想録の形をとっていて
夫からのプロポーズ、下院議員時代、首相就任
フォークランド紛争などのエピソードが、折に触れ描かれていくんですが
それらは、あくまでサッチャーさんの視線なんですね。
したがって、彼女の政治を評価するものでもなければ、周囲の人間の考えが入るわけでもない。
だから、この映画に政治的な見解を期待すると当てが外れるかもです。

ゴールデン・グローブでもドラマ部門主演女優賞を獲得したメリルの演技は、やっぱり凄い。
職人技で、サッチャーさんをそっくりに演じているのは勿論のこと
どこからどう見ても本物のお年寄りにしか見えない老齢なサッチャーさんの演技には脱帽ですね。
 

サッチャーさんが首相としての凄みを身につけるために努力したことなどの
エピソードは面白く見たのだけど、
正直、回想の内容はダイジェスト的で、ドラマに乏しいため
途中ちょっとウトウトしちゃいました(汗)
でもラストは本当に切なくてね。
ここ一番語りたいですが、我慢します(泣)

認知症に冒され、消え行こうとする記憶の中で、
自分は周りの人を、そして夫を幸せにすることができたのだろうかと振り返るサッチャーさんの姿に
老人の悲哀を感じる作品でした。
 
日本公開は3/16~