しまんちゅシネマ

映画ノート

ファミリー・ツリー




ファミリー・ツリー 
2011年(米)

原題:The Descendants
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ジョージ・クルーニー/ シャイリーン・ウッドリー/ アマラ・ミラー/ ニック・クラウス/ ボー・ブリッジスジュディ・グリア

【ストーリー】
祖先の土地を受け継ぎ、ハワイで妻と2人の娘とともに暮らすマット・キングだが、ある日、妻のエリザベスがボートの事故でこん睡状態に陥ってしまう。さらに、エリザベスには不倫の相手がおり、離婚まで考えていたことが発覚。友人や長女もその事実を知っていたことにがく然としたマットは、自らの人生を見つめ直すことになる。(映画.comより)




今日は旧ブログから、昨年11/29付けの記事を移動、加筆してます。

『サイド・ウェイ』から7年ぶりとなる
アレクサンダー・ペイン監督の新作
ハワイを舞台にした家族ドラマです。
アカデミー賞で脚色賞受賞。
序盤主演男優賞本命と言われたジョージ・クルーニーは惜しくも受賞を逃しました。


ジョジクル演じるマットは、ホノルルで弁護士として働く仕事人間。
ところがボートの事故で妻は昏睡状態に。
妻が目覚めたら、色んなことを語り合いたい。
そんな願いも虚しく、医師からは回復の見込みのないことを宣告される。
しかもそんなときに、妻の浮気を娘から訊かされ・・という究極のダブルパンチ。
どうするべ。

知らなかったのは自分だけ
自分の知らない間に、家はどうなってしまったのか、
自分の何がいけなくて、妻は何を求めていたのか・・

無謀にも浮気相手の正体を確かめようとするジョジクルが
さえないオッサンを演じていて、たまらず可笑しいのだけど
これは家族それぞれの自分探しのロードムービーでもあって
家族のメンバー(母であり妻)を葬(おく)る日に向け、心の準備をする旅でもあるのね。

ルーニーは以前からペイン作品への出演を希望していて
サイドウェイ』ではトーマス・ヘイデン・チャーチが演じたフリチン男の役を切望したけど
大物すぎると断られたのだとか。いや、そっちが大ものって意味ではないと思うけどw
劇中、ジョジクルが涙を流すシーンには、大いに泣かされてしまったけど
ルーニーはインタビューで、「『サイドウェイ』で使ってもらえなかったことを思い出して、泣くことができたよ」と答えてました(笑)

タイトルのディセンダンツというのは子孫とか末裔という意味があって
映画の中では王族だった先祖から受け継いだ広大な土地を所有するクルーニー
自分たちのことをこう呼んでました。
タイトルにこれを据えたのには、ハワイの歴史を語る意図もあったかもしれない。
でも何よりも、一家は地に足をつけ、しっかり生きている
それは未来にも受け継がれるのだ そんな意味があるように感じました。

ペイン監督は、心の痛くなるような悲しみを描きながらも、シュールなユーモアも忘れない。
父親としてのクルーニーの誠実さが、娘たちを成長させ
ルーニーもまた娘たちによって成長していく展開も心地よく
この家族はもう大丈夫と思わせるラストシーンも温かくほっこりできます。

オーディションで選ばれたという長女役の
シェイリーン・ウッドリー
惜しくもアカデミーからは振られたけど、インディペンデントスピリット賞ほかで
助演女優賞獲得の注目の新人です。


美しい海に囲まれたハワイに住みたくなります。

日本公開は5/18~