しまんちゅシネマ

映画ノート

顔のないスパイ



顔のないスパイ
2011年(米)

原題:The Double

監督:マイケル・ブラント
出演:リチャード・ギア
   トファー・グレイス
    スティーヴン・モイヤー
   オデット・ユーストマン
   スタナ・カティック
   クリス・マークエット
   テイマー・ハッサン
   マーティン・シーン
【ストーリー】
米ワシントンで上院議員が殺害される事件が発生し、その手口から死んだとされている旧ソ連の伝説のスパイ、カシウスの存在が浮上する。米ソ冷戦時代にCIAで活躍した元諜報部員ポールは、事件の謎を解明するために呼び戻され、若きFBI捜査官ギアリーと組んで捜査にあたることに。(映画.comより)

ロシアと関係のあった上院議員が殺害され、
その昔カシウスを追っていた元CIA捜査官ポール(
リチャード・ギア)が呼び戻されます。
おちおち引退もできないとは、お気の毒です。

「カシウスは死んだ。議員殺害は模倣犯による仕業だ!」と主張するも聞き入れられず
ポールはFBIのカシウスフリークの若造ギアリー(
トファー・グレイス )と組まされ
捜査することになる・・という話です。

原題のダブルからも想像がつくと思うのだけど、これは二重スパイを描くサスペンスなんですね。
ところが、その正体が早々に明かされるため、
誰が二重スパイかを期待して観ると肩透かしに感じるかもしれません。

でもその構成からわかるように、作品としては
上院議員殺害の真相を解き明かしつつ、
今なぜカシウスなのか、あるいは、本当にカシウスの仕業なのか から始まって
思わぬ真実が見えてくるというところに重きを置くものになっています。
真実を追うものに危険が迫るという展開はスリリングで
二重スパイとして生きる人間の苦悩と葛藤の描き方も丁寧でした。

監督は『3時10分、決断のとき』『ウォンテッド』などの脚本を手がけた
マイケル・ブラントで、これが監督デビュー作とのこと。
ポールが少年野球を観戦するシーンだけでも
腕時計をしていないことや、小さな男の子への思いなど伏線を仕込んでる。
そのあたり脚本家の出らしい仕事ぶりで、良かったですよ。

ただ個人的にはスパイものに疎いこともあり
スパイとして生きる人間の義務感みたいなものや、スパイとして活動する仕組みなどがわかりづらかった。
同じ組織にいながら、まるで正体を知らないものなんだろうかとか
「?」に思うところもあったのよね。
ギアリーの同僚に「FBIに勤務していながら長官の姿は拝んだことがない」
などと発言させていたのは、
言い訳け軽く先手を打ったつもりかな(笑)

ロシアの工作員の面々についてももう少しわかり安いと良かったな。
そもそもロシアから入ってくるのに、メキシコ人と一緒にボーダーを越えてくるって
それ逆に大変じゃね?(笑)

終わってみれば「ダブル」ね~と感心する仕上がりです。