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映画ノート

フレッシュ・デリ<未>



フレッシュ・デリ
2003年(デンマーク
原題:The Green Butchers
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:ニコライ・リー・コス/ マッツ・ミケルセン/ ボディル・ヨルゲンセン
    リーネ・クルーセ/ オーレ・テストラップ
【ストーリー】
肉屋を開業したばかりのスヴェンとビャンだったが、店は閑古鳥。
ところが間違って人を冷凍庫に閉じ込め死なせてしまったスヴェンが、人肉のマリネを店に出したところ評判になり・・・。


今月のキーワード
緑から、今日は翔さんのところで紹介されていて気になったこの作品を
これ、てっきりおバカテイストのホラーだと思ったら、ちょっと違いました。
というのも、監督は『ある愛の風景』『アフター・ウェディング』『未来を生きる君たちへ』などスザンネ・ピア監督作品で、原案と脚本を手がけてる人だったのね。

だから肉屋で人肉を売ったら大評判になったという、ありがちなブラック・コメディなのに,、主演二人の内面的なトラウマやバックグラウンドが丁寧に描かれてて
ドラマとして十分深刻なものになってるんですよ。びっくり。
とはいっても、ブラックな笑いもしっかり仕込んでいる。

個人的に一番笑ったのは、スヴェンとビャンの元の雇い主である肉屋のオヤジの台詞。
鹿のソーセージ作りを得意とするそやつは、
鹿を殺しミンチにして、腸詰めにすることに快感を覚えてるんですよ。
自分(鹿)自身が自分の尻の穴に詰められる。こんな屈辱はないだろうってw
考えたことなかったけど、そう言われれば確かにそうだわね(笑)



主演の片方、スヴェンを演じるのが、スザンネ監督作品でもおなじみのマッツ・ミケルセン
神経質で皮肉屋な汗っかきだから、人に嫌われて生きてきた男
本来なら人を殺め、かつ人を騙して肉を売っていることの葛藤があるはずだけど、自分の売る肉を人に喜んでもらえたという事実が彼の行動を後押しするという描き方が面白い。
デコちんな髪型でブラックな可笑しさ満載なのに、演技は必要以上に上手くてウケるw 
画像クリックすると大きくなるので確認してね。

ビャンを演じるニコライ・リー・コスは双子の兄と二役で、
こちらも悲しい過去を背負った心優しき男を好演。
時々繰り出すスネへの素早い蹴りが最高です(笑)

意外と深刻に話を進めた割には、最後はユルい成長物語に落ち着くのだけど
面白かったからよしということで。

ところで、開店した店のカウンターも、開店祝いのバルーンも緑、後にユニフォームも緑にしてやたら緑にこだわっていたんだけど、デンマークでは緑に特別の意味があるのかな。
ご存知の方教えてください。