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映画ノート

キリング・フィールズ 失踪地帯

マイケル・マンの実の娘アミ・カナーン・マンの長編デビュー作。
実話ベースのクライム・サスペンスです。
新年度につき、少々語り口調を変えてみたため、違和感ありかと思いますがヨロシクです(汗)



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キリング・フィールズ 失踪地帯
2011年(アメリカ)
原題 Texas Killing Fields
監督:アミ・カナーン・マン
出演:サム・ワーシントンジェフリー・ディーン・モーガンジェシカ・チャステインクロエ・グレース・モレッツジェイソン・クラークアナベス・ギッシュシェリル・リースティーブン・グレアム

【ストーリー】
刑事マイクと相棒のブライアンは、連続して発生した少女の失踪と殺人事件の捜査にあたっていたが、その矢先にブライアンが気にかけていた心に傷を抱えた少女アンも失踪してしまう。アンが事件に巻き込まれたと直感した2人は、犯罪が多発することで「キリング・フィールド(殺人地帯)」と呼ばれる危険地帯へと向かう。(映画.comより)


テキサス・キリング・フィールドの現場となるのは、ガルベストン近くというから、
我が家からは車で4時間半の距離。
ここでは、失踪した少女たちが幾度となく死体で発見されている。
60年代からというから、犯人は単一ではなく、云わば死体遺棄の墓場状態。
原住民でさえ、足を踏み入れることを恐れる場所だそうだ。

少女殺人事件が起こり二人の刑事が現場に駆けつける。
ニューヨークから赴任してきたブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)と、地元出身のマイク(サム・ワーシントン)。
降り出した雨の中、少女の死体に祈りを捧げるのはブライアン。
感情のコントロールがきかず暴力に走りがちなマイクとは対照的だ。

被害者の少女の背景から、売春を介したある二人の犯人像が浮かぶが
映画としては捜査の過程がまどろっこしく、展開がわかりにくい。
登場人物の背景を描くがゆえに、流れが中断されるからだ。
人物像を手稲に描くという監督の意図はわかるが
主軸が見えにくく、どうかすると眠気を誘われる静けさなのは映画の賛否を分けるところかもしれない。

それでも女性監督ならではのキメの細かさも感じるところで
例えば、アンを演じるクロエ・グレース・モレッツの服はいつも歳の離れた兄のお下がりであろう男性用。
薬中で売春婦上がりの母(世界一美しい死体のシェリル・リー!)は、
娘に服を買い与えることさえしないほど壊れていることが窺われ
お洒落に興味を持つ12歳の少女アンの不憫が強調される。

サム・ワーシントン演じるマイクは、同じく捜査官であるパム(ジェシカ・チャステイン)と離婚しており、
その孤独の描き方も丁寧。
ちなみに、ジェシカ・チャステインとは『ザ・デット』でも仮の夫婦役だった。
ジェシカ嬢はマイクに負けず劣らずの暴力デカぶりw

キリング・フィールドとなる湿地帯はカトリーナ襲来後のニューオーリンズで撮影されており、荒廃感が際立った。
また、マイケル・マンが製作に加わっていることもあってか夜のシーンが美しく
特に犯人と対峙するマイクのシーンは、マイクの決断、犯人の落胆の描き方も秀逸で印象に残る。

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クロエちゃんは撮影時12歳というからビックリ。
ときおり大人の色香を漂わせつつ、孤独な少女を魅力的に演じ、一番輝いている。

映画は最後に「希望」を見せて終える。
説明不足で判りにくいところもあり、流れもスムーズとはいえないけれど
ヒューマンドラマとして監督の意図を読みながら観るぶんには楽しめる作品だと思います。

日本公開は4/14~