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映画ノート

火を噴く改造車『ベルフラワー』

今日はすんごい車が出てくる映画をご紹介しましょう。
火炎放射カー、メドゥーサが火を噴く!サンダンスで話題になった新人監督によるインディーズ映画『ベルフラワー

  

ベルフラワー
2011年(アメリカ)
原題:Bellflower
監督:エバン・グローデル
出演:エバン・グローデル、タイラー・ドーソン、ビンセント・グラショー、ジェシー・ワイズマン、レベッカ・ブランデス

ウッドローとエイデンは定職にも就かず、改造車作りに没頭する若者
ある日、酒場で知り合ったリリーとコオロギ食い競争wで意気投合したウッドロー。
翌日にはリリーをデートに誘い、彼の人生はばら色に輝き始める。
が、それは長くは続かない。リリーの浮気が発覚するや、ウッドローの怒りが爆発、怒りは狂気へと変わっていく・・・。
 

  

おぼこい男と付き合うときには要注意って話ですがこれは失恋を経験した若者のセンチメンタルジャーニーであり
ウッドローとエイデンの友情と再生の物語でもあります。
彼らが改造車作りに励むのは、『マッドマックス2』の世界に心酔し、滅亡後の世界の戦闘に備えるため など、
そのあたりからワケわかめ。つまりは、現実逃避なんでしょう。

リリーは「自分と付き合うと不幸になる」と最初に警告してるし
そもそも初デートの日、リリーの玄関でウッドローを迎え出たのは元カレだし。

恋は盲目というよりも、そんな現実にさせ目を向けない非現実的で無関心という若者の姿が透けて見えます。
夢と現の交錯するマッドな世界の描き方はエキセントリックで驚かされるところだけど
全編に流れるエレジーな挿入歌とともに、どこか昭和の香りのする作品です。

おっと、忘れるところだった。
彼らの改造車メドゥーサに言及しなければ、車の映画になりませんね。



火を噴くと書いたのは、誇張でも喩えでもなくこれが正真正銘の火炎放射カー!なんですよ。

カリフォルニアの道路交通法はどうなってるんでしょうか。
爆音とともに物凄い煙を吐いて走るメドゥーサに目がテンでした。

だけど、映画の中での走りはちょっと地味だったのが残念。
規制もあったのでしょうね。
ちなみに映画評論家の町山さんが、実際に監督のところに行ってこのメドゥーサ号に試乗した動画がアップされてましたので
お借りしてみました。どうですか、こんなよ
 


ご近所はさぞかし迷惑だったでしょうね(笑)

運転してるのがこの映画の監督、脚本、主演、製作から車の改造、撮影カメラの製作まで手がけているエバン・グローデルさん。

なんと初めて火炎放射カーを作ったのが、12歳の時と言うから驚きます。
制作費の殆どはガソリン代か?と思うほどの作風で、
インディペンデント・スピリット賞でジョン・カサベテス賞を受賞。

最後は友情とほろ苦さにキュンとなる、新しい青春映画の誕生ですね。
車好きさんにはたまらないはず♪
 
日本公開は6/16~
 
★★★★