しまんちゅシネマ

映画ノート

『四つのいのち』めぐりめぐる命の営み

四つの命を通して、自然界の全ての命の繋がりを描く映像詩。
イタリアの新鋭ミケランジェロ・フランマルティーノ監督の作品です。



四つのいのち
2010年(イタリア・ドイツ・フランス)
原題:Le quattro volte
監督:ジョン・ラッセンホップ
出演:ジュゼッペ・フーダブルーノ・ティンパノナザレノ・ティンパノ


イタリアの山の頂上付近にある寒村
聞こえるのは山羊飼いのおじいさんの持つ鈴の音や
山羊の鳴き声、山羊を統率する犬の泣き声やおじさんの咳などなど
物語があるわけでもなく、ドキュメンタリーに近い作風で
村で繰り広げられる自然の営みを淡々と見せる映画です。

この村の昔からの暮らしには、
私たちがとおの昔にどこかに置いてきたものがありました。

例えば羊飼いのお爺ちゃんが袋の中から何かをガラガラと鍋にあけ、
蓋をして、さらにレンガで重しをする。
なんだろうと思ってると、翌日仕事から帰ってみると
テーブルには意外なものが・・だったり
あるいは、お爺さんが咳止めに飲んでいるのが、
教会を掃除して集めた埃だったり(驚)



お爺さんは死に、同時に子山羊が生れ落ちる。
群れを離れた山羊は、やがて大きな樅の木の根元で目を閉じる
樅の木は祭りのために切り倒され、その後木炭を作るために焼かれる。

タイトルの4つのいのちとは何?と考え
人、カタツムリ、山羊、犬・・などと数えたのだけどw
どうやら正解は人、動物、植物、炭なんだそうで
炭が入るんかい!と個人的には驚いた(笑)
けども木が炭となり燃料となって人々の暮らしを助けているわけで
本当は具体的な分類などどうでもよく、
自然はこうして循環しているのだということなんでしょうね。
そう思うと、なんともスケールの大きな作品に思えてきます。

私たちもこの循環の中で生かされている
でも文明人は、この循環を随分壊しながら暮らしているよなぁ
なんてことも考えてしまう作品でした。


★★★★