しまんちゅシネマ

映画ノート

殺しが静かにやって来る











殺しが静かにやって来る(1968)イタリア
原題:Il grande silenzio
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:ジャン・ルイ・トランティニャン、クラウス・キンスキー、フランク・ウォルフ、ルイジ・ピスティ、ヴォネッタ・マギー



アメリカ西部の町、スノーヒルは、殺し屋が占領する恐ろしい町だった。そんな町にかつて両親をポリカットに殺されたサイレンス(J・ルイ・トランティニャン)がやって来た。ロコに夫を殺されたポーリン(V・マクギー)に復讐を頼まれたのだった・・

西部劇はあまり観ないんですが、タランティーノ『ジャンゴ~』の予習に観ました。
これ舞台が白い雪に覆われた土地ということで、黄色い砂の舞う西部劇とは随分イメージの違う異色な作品です。

主人公がサイレンスと呼ばれる物言わぬ男で、台詞が全くないのも異色。
粋な邦題はそんな主人公の設定からでしょうか。



懸賞金稼ぎの殺し屋グループが蔓延る町スノータウン。
殺し屋グループを率いるのがクラウス・キンスキー演じるロコ。
シルバーライトなブロンドが死神のような雰囲気で
この男のためにあるのかと思うほどに賢く「雪」を使い
狡猾かつ冷徹に殺戮を行う男です。




このロコに夫を殺された未亡人から仇討ちを依頼されるのがサイレンス。
優しげで美しい顔立ちに、そこらの殺し屋どもとは別格の品を漂わせながら
どこか陰のある淋しげな瞳が印象的。
その過去から、ロコら殺し屋を影で操る判事に恨みを持つ彼は
仇討ちを引き受け、強敵ロコに挑むことになりますが・・



これからご覧になる方のために、私も敢えてサイレンスになりますが
降り積もる雪にモリコーネの音楽が切なく鳴るラストシーン
セオリーを覆す結末には息を呑みました。
これは西部史に残る陰惨な虐殺という実話を元にした話だったんですね。

サイレンスを演じたジャン・ルイ・トランティニャン
ハネケの『愛、アムール』に主演している様子。
ますます観たいぞ。