しまんちゅシネマ

映画ノート

悪の法則




リドリー・スコット監督、コーマック・マッカーシー脚本によるスリラー映画
『悪の法則』を観て来ました。
悪の法則(2013)アメリ
原題:The Counselor
監督:リドリー・スコット
出演:マイケル・ファスベンダーブラッド・ピットキャメロン・ディアスペネロペ・クルスハビエル・バルデム
日本公開:2013/11・15
すべての始まりは、若くてハンサムな弁護士が、ほんのちょっとの出来心から裏社会のビジネスに手を染めたことだった。美しいフィアンセとの輝かしい未来を夢見たその欲望は、周囲のセレブリティたちを否応なく危険に巻き込み、虚飾に満ちたその日常を揺るがしてゆく。

 原題は『カウンセラー』。
カウンセラーと呼ばれるマイケル・ファスベンダー演じる弁護士の過酷な運命を描くお話です。
 
 

 冒頭、ベッドで戯れるカウンセラー(マイケル・ファスベンダー)とローラ(ペネロペ・クルス)。カウンセラーは高価な指輪を買い付け、ローラにプロポーズ。世界は二人のためにあるという古い言葉を思い出すほど、幸せな二人がまぶしい。しかしこれを機に、カウンセラーは友人に勧められていたビジネスに足を踏み入れる。それがちょっとやばい仕事だったことから、カウンセラーとその周辺に危険が迫り始めるわけ。 
 
 思いのほか早く上映が終わりそうだし、トマトメーターも37%と低いため、あまり期待せずに観たのだけど、いやいや、これ面白いですよ。幸せの絶頂にあったものが、不幸への道をひた走り始める。その止められない感とスリルはさすが『ノーカントリー』のマッカーシーの原作と思うところ。ただね、少しわかりにくいところがあるんですよ。

 というのも、カウンセラーを危険に巻き込む「悪」が二つあること。正確に言うと3つかな。ひとつはカウンセラーが手を染める裏ビジネスに関わる組織。メキシコの麻薬カルテルのやばさは『野蛮なやつら』でも証明済み。これにもうひとつの邪悪な存在が複雑に絡むため、前半暗躍する動きの正体を掴み辛く困惑してしまった。私だけかな。




 最近は虚無感漂う姿を見慣れていたため、苦しみ、涙を流すファスベンダーにやられた。
共演はほかに、カウンセラーを裏ビジネスに誘うセレブな友人ライナーにハビエル・バルデム。その恋人マルキナキャメロン・ディアス。麻薬売買の仲介人ウェストリーにブラッド・ピット
最初マルキナ役にアンジェリーナ・ジョリーを予定していたそうで、それが実現してたら、ハビさん&ペネロペとブラピ&アンジーのビッグカップルの共演になってもっと話題を呼んだでしょうね。背中に豹のタトゥーを入れたキャメロンもイメージ一新で頑張ってたけどアンジーの方が似合ったかも。しかし見事な開脚に拍手(笑)

 始まりは平凡な幸せ。ところがそれが欲望の扉をたたき、悪意の連鎖を引き起こす。
終わってみれば『悪の法則』とした邦題にうなった。
少し判りにくい部分を見たもの同士で語り合い、謎を生める作業も楽しいはず。
おそらく二度三度と観て面白さが倍増する作品だろうと思います。