しまんちゅシネマ

映画ノート

ビフォア・ミッドナイト






賞関連、今日はゴッサム賞作品賞にノミネートの『ビフォア・ミッドナイト
イーサン・ホークジュディ・デルピー主演、リチャード・リンクレイター監督による
恋人までの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』に続く第三弾ですね。
ビフォア・ミッドナイト(2013)アメリ
原題:Before Midnight
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホークジュリー・デルピー/シーマス・デイビー=フィッツパトリック
日本公開:2014/1・18

 旅の途中の列車での出会いから始まった、アメリカ人男性ジェシーイーサン・ホーク)と、フランス人女性セリーヌジュリー・デルピー)の恋物語。実はこれ、公開をものすごく楽しみにしてたのに、劇場逃しちゃってDVDでようやく観ました。観にいこうとするまさにそのとき、友人に誘われ、エンタメ大好きな彼女に合わせてほかの映画を観たところ、二日後には公開が終わっちゃったんですよねぇ。まさか一週間で終了するとは・・(泣)インディーズ作品の寂しいところです。

 さて、前作『ビフォア・サンセット』は、セリーヌとの出会いをしたためた本を出版したジェシーが、パリの書店でサイン会でセリーヌと9年ぶりに再会するという物語でした。このとき既に妻子のある身のジェシーでしたが、フライトまでの時間をセリーヌのアパートで過ごすうち、彼女への思いが再燃し心を揺らす。最後は「飛行機に遅れちゃうと思うなぁ」というセリーヌの悪戯な台詞で暗転。「そ、それからどうなったのーー??!!」だったわけですが


それから9年・・




 冒頭、大きくなった息子ハンクを空港で見送るジェシーの絵
どうやら、ハンクはジェシーらとギリシャで休暇を過ごした後、アメリカの母の元に帰国するようです。ドライな息子に対し、息子との別れを惜しむジェシーの表情は痛切。画面は変わり、ジェシーの運転する車の横にはセリーヌ。後部座席にはブロンドの可愛い双子の女の子!そう、ジェシーセリーヌと結ばれていたのです。





 デルピーは少しぽっちゃりさんになったけれど、イーサンと息もぴったりで、共に過ごした歴史を感じさせてくれるふたりに頬が緩みます。けれど、ジェシーはどうしても息子ハンクのことが気がかりで、そのことは、セリーヌをじわじわと苦しめているようなのです。

 シリーズを通し、リンクレイター、イーサン・ホークジュリー・デルピーが共同で脚本を書いています。この映画が面白いのは、1995年に第一弾となる『恋人たちの距離(ディスタンス)』が公開されてから、9年ごとに続編が作られ、主人公たちがリアルタイムで歳を重ね、映画が時を刻み続けている点。それゆえ9年後の二人の今に期待と不安が入り混じります。序盤、幸せそうな二人にホッとするのもつかの間、二人に流れる微妙な空気に気を揉むことになりました。

 ギリシャのゲストハウスに世代の違うカップル(お一方は既に妻が他界)を集わせ、「共に生きるとは」をさりげなく語らせ、徐々にジェシーセリーヌの問題を浮き彫りにさせるつくりもうまい。彼らの問題がある意味普遍的なものであることから、二人がこの危機をどう乗り切るのかと興味が尽きず、二人の行く末を固唾を呑んで見守ることに。
 
 この映画、会話が主体で、3作通じて派手なところは一切なし。それでもシニカルさを交えながらも、湧き上がる恋する思いに興奮させてくれる展開は本作でも健在。今回は特にジェシーが作家であるという設定が生かされた言葉選びも絶妙で、ソルーションへと向かう最後の10分に静かな感動があります。「ここから来る!」と思った瞬間涙が溢れ、DVDを止めて心の準備をしちゃいましたもの。

 長い人生、思いどおりにならないことも不満に思うこともあるでしょう。でも心配事や問題点は、力を合わせて解決することも出来る。愛さえあれば。そんな作品です。ギリシャの風景も綺麗でした。
9年後のジェシーセリーヌにまた会いたいな。

余談ですが・・
一本目の『恋人までの距離(ディスタンス)』は原題の『ビフォア・サンライズ』に改名しましょうよ。


トラックバック一覧

  1. 1. 「ビフォア・ミッドナイト」は主人公の元奥に幸多かれと祈る

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • January 20, 2014 07:12
    • 今回は新作の「ビフォア・ミッドナイト」をヒューマントラストシネマ有楽町1で観てきました。この映画のパンフレット、700円するのに、24ページ中6ページが広告なんです。広告出すなら値段下げろと思いますよ、マジで。広告を放り込む会社もイメージダウン、オムロン、鹿島