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映画ノート

ダラス・バイヤーズクラブ




マシュー・マコノヒーエイズ患者を演じる実録映画。
見慣れたダウンタウンをバックにしたポスターも嬉しく、
ダラス在住者としては見逃せない『ダラス・バイヤーズクラブ』を観てきました。
ダラス・バイヤーズクラブ(2013)アメリ
原題:Dallas Buyers Club
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:マシュー・マコノヒージャレッド・レトージェニファー・ガーナー/デニス・オヘア
日本公開:2014/2・22
マッチョな裸自慢のマシューの激やせぶりが話題になったときには、マジで病気かと心配しましたが、彼は本作で余命1ヶ月を宣告されたエイズ患者を演じるため、なんと最大21キロも減量してたんですね。背中を丸め痩せこけた姿は衝撃的なレベル(汗)。





 マシュー演じるロン・ウッドルーフはダラスで電気技師のかたわら、ロデオ大会にも出場するカウボーイ。コカイン、女、賭博と奔放に生き、レイシストでホモを毛嫌いする典型的なレッドネックです。
1985年のある日、HIV陽性で余命30日を宣告される。アメリカには有効な治療薬がないと知り、海外に治療薬を求めたロンは、それを商売にすることを思いつき、バイヤーズクラブなるものを設立するという話。

 不思議に思うのが、海外で使われてるエイズ治療薬を何故アメリカでは買えないのか。それは政府が認可しないからなんですね。レーガン政権は同性愛者がかかる病気というイメージのエイズ研究に力を入れない。言ってみれば患者見殺し、同性愛者淘汰です。
その根底にあるのはキリスト教原理主義だと思われ、宗教は時に残酷ですよね。

 というわけで、海外から薬を買い付けアメリカで売るというロンの行為は違法ということになり
映画は、密輸に奔走する主人公をスリリングに描くわけですが、ロンが変装を駆使して買い付けに走ることから、これがなかなかユーモラス。
ロンは自堕落で奔放な生き方をする男ながら、曲がったことは大嫌い。彼の闘いが金儲けではなく、エイズ患者を救うという当たり前のことをしない政府への挑戦でもあるところにロンの魅力があり、映画を俄然面白くしています。





 買い手の多くが同性愛者ということで、ロンの強力な助っ人になるのがオネエのレイヨンで、これまた過激に痩せたジャレッド・レトーが演じています。
この時代、ダラスでトランスセクシャルを貫くのは、かなり勇気が要ったことでしょう。今でも、あからさまなオカマちゃんは殆ど見ません。テキサスはそういう土地。
それでも自分の性に正直に生きるレイヨンは悲しいほどにかっこよく、その強さと孤独をオネエ姿で演じきったレトー君の演技が素晴らしい。最初はホモを毛嫌いしていたロンも次第にレイヨンをリスペクトするようになる。二人の関係の変化も見もので、マシュー、レトー君ともにオスカーノミネート確実と言われてますね。
ロンに賛同するようになる女医を演じたにジェニファー・ガーナーも、ホッとする存在感でよかった。
 
監督は『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のカナダの新鋭ジャン=マルク・ヴァレ
ゼロ・グラビティ』『12 Years a Slave』といい、今年は外国人監督の活躍が目立ちますね。
エイズ治療薬認可の影に、こんな実話があったということに驚き、信念を貫き通した熱い男の物語に感動する見ごたえある一本でした。


おまけ
マシューとレトー君の強烈な痩せっぷり、ビフォー&アフターをどうぞ


マジック・マイク』の筋肉はどこへ・・




役を引き受けてから3週間しかなかったレトー君。
ビーガンダイエットを駆使しつつも・・
奥義は「食べるのをやめた」・・(汗)

ちなみにレトー君、2007年の『チャプター27』ではこの増量



ハーゲンダッツをレンジで溶かし、オリーブオイルと醤油を加えて飲んだ。惨めだったよ」

・・・。
食べ方は違えども、お腹に入る内容は私も変わらないかも。ヤバ



トラックバック一覧

  1. 1. ダラス・バイヤーズクラブ

    • [じゅり好み☆]
    • March 04, 2014 21:37
    • ダラス・バイヤーズクラブ (2013) 【DALLAS BUYERS CLUB】 1985年、テキサス州ダラス。 酒と女に明け暮れ、放蕩三昧の日々を送るマッチョなロディオ・カウボーイ、ロン・ウッドルーフ( マシュー・ マコノヒー )。 ある日、体調を崩した彼は
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