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映画ノート

【映画】 天使の処刑人 バイオレット&デイジー




天使の処刑人 バイオレット&デイジー(2011)アメリ
原題:Violet & Daisy
監督:ジェフリー・フレッチャ
出演:シアーシャ・ローナンアレクシス・ブレデルジェームズ・ガンドルフィーニダニー・トレホ、 マリアンヌ・ジャン=バプティスト、 タチアナ・マズラニー、 コディ・ホーン

【ストーリー】
ニューヨークに暮らす仲良しティーンエイジャーバイオレット(アレクシス・ブレデル)とデイジーシアーシャ・ローナン)の仕事はなんと殺し屋。
普段は簡単な殺ししか請け負わない2人だったがお気に入りポップスターデザインのお洋服欲しさに報酬の高い仕事を引き受けることに・・。



ジェームズ・ガンドルフィーニ
映画2本目は、シアーシャ・ローナンアレクシス・ブレデル と競演したクライム・アクション・コメディです。
本作でギャンドルちゃんが演じるのは、ギャル2人の殺しのターゲットとなるマイケル。

 映画はマイケルが「殺されることをむしろ歓迎していた」ことから、仕事の出鼻をくじかれた殺し屋2人が、予想外の敵とも戦いながら、自身のアイデンティティを模索するお話。
タランティーノ流ブラックなアクションから始まって次第にヒューマンな色合いを濃くし、最後はティーンエイジャーの成長物語になってるのが意外な展開でした。

 監督は『プレシャス』でアカデミー脚本賞を受賞したジェフリー・フレッチャ
本作が初監督作品ということらしいですが、ハーバード大学で心理学を学んだという監督は、空想の中に登場人物の心理を投影するのを得意としている様子。
本作でも途中空想と思われるシーンが登場するんですよね。
映画なので思い切り非現実的でもいいじゃないかという監督の意見には異論はなく
ギャル2人がマフィア数人をあっという間に皆殺しにしたり、ブラックな笑いを入れてるのもOK。
だけど、せっかく入れた空想シーンが何を意味するのかわかりにくく、個人的にはモヤモヤが残ってしまいました。心理学に通じていると理解できたのかしら。




 まぁ不消化なところもあるのだけど、この映画が素晴らしいのはやっぱりギャンドルちゃんの存在感です。
不覚にもソファーで眠りこけてしまった2人にそっと掛け物をかけてあげたり
クッキーを焼いて振舞ったりね(笑)
厳しい現実を抱えながらも、デイジーたちには父親のような包容力も見せるギャンドルちゃんが素敵過ぎ。
物悲しさと優しさの合わさった瞳にノックアウトでした。

 デイジーとバイオレットは同一人物なのかなとか、自転車の持つ意味はなんだったかなとか、さまざまな疑問も残ってしまったけど、終わってみれば切なさと爽快感を感じ、嫌いじゃなかったです。
もう一回観るともっと映画の本髄を理解できるかも。