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映画ノート

【映画】『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』カンバーバッチ、オスカーなるか

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そろそろオスカー候補も出揃った感がありますね。
今日はベネディクト・カンバーバッチが実在した天才数学者アラン・チューリングを演じ、作品賞、主演男優賞ノミネートに期待のかかる『イミテーション・ゲーム』をご紹介。

イミテーション・ゲーム(2014)イギリス/アメリ
原題:The Imitation Game
監督:モルテン・ティルドゥム
出演: ベネディクト・カンバーバッチキーラ・ナイトレイマシュー・グードチャールズ・ダンス
マーク・ストロング
日本公開:2015/3


ドイツ軍との戦いで劣勢を強いられている連合軍の急務は、敵の暗号機エニグマを解読することだった。イギリスが白羽の矢を立てたのは天才的な数学者チューリング。しかしその国家的なミッションは困難を極めた。


アラン・チューリングという天才数学者のことはこの映画で初めて知りました。
第二次世界大戦を終わらせ、かつコンピューターの祖とも言える人なのに名前が知られていないのは
彼の携わった「ナチスドイツの暗号を読み解く」ミッション自体が国家機密として厳密に処理されていたからなんですね。50年経って封印をとかれ、チューリングの偉業が知られることになったのだとか。

映画はカンバーバッチ演じるアラン・チューリングがあることから警察に尋問を受けることになる1951年から始まり、チューリングが暗号解読の任に当たった戦中へと遡り、さらに少年時代の想い出を交錯させながら、彼の偉業と苦悩をあぶりだす構成。

チューリングはドイツの暗号エニグマを解読するチームを結成。
チームを集めるにあたってはパズルを解くような試験を実施するんですが、テストを一番の成績で突破したのがキーラ・ナイトレイ演じるジョン。
チームは膨大な時間をかけエニグマ信号を読み解くことになります。

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カンバーバッチはチーム員からも少々距離を置かれる「わが道を行く」タイプの「天才」を演じてまして、エニグマ解読の情熱は伝わるものの、そんなに演技凄いかなぁと思いながら観てたんですが
演技の神が降りてきたと思える終盤の演技が凄かった。

その終盤を説明するには彼の秘密に迫らなくてはならないんですが・・・
多分映画好きの皆さんはその秘密ご存知でしょ?
私も知って観たんですけど、映画サイトによってはこれを明かしてないので知りたくない方はここからスルーでお願いします。
知って読んでくださる方にも、秘密以外のところで大きなネタバレはしてませんので安心してください。



まぁ、その秘密というにはアラン・チューリングがゲイだったということね。

正直、映画の中盤まではエニグマが解読され、戦争が終結した時点でもそれほどの感動はないんですが
終盤に一気明かされるチューリングの思いが切なくて、切なくて。
あぁ そうだったのかと、後から思い返すことも多くて泣けてしまった。
エンドロールで知ることになる事実も、時代とは言えやりきれないですねぇ。

これ以上は書けないのが辛いですが、構成の妙もあって最後に深い余韻を残す秀作でした。

助演候補にもなってるキーラの強く賢い女性像も凄く良かった。

監督は『ヘッドハンター』のノルウェイの新鋭モルテン・ティルドゥム
ところどころユーモアを効かせているのは「らしい」と思うところだけど、今回は『ヘッドハンター』とはまた違った作風でもあって、監督の今後の活躍が楽しみです。