しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】白い沈黙



白い沈黙(2014)カナダ
原題:The Captive
日本公開:2015/10/16

来月日本で公開されるアトム・エゴヤン監督の新作ミステリー・サスペンスです。

父マシューを演じるのはライアン・レイノルズ
娘キャスのスケートの練習の帰り、パイを買うため店の前の駐車場にキャスを乗せたままダイナーに立ち寄ったマシュー。しかし店から出てみると娘は忽然と消えていた。
8年後、夫婦の悲しみは癒えることはなく、マシューは今も娘を探している。
そんなある日、警察からキャスの生存を匂わせる情報を得る。
キャスは生きているのか?

カンヌでお披露目され、途中退席やブーイングを受けてしまったという作品ですが・・
なんで?凄く面白かったんですけど。。

不評の理由としてはまず時間軸を交錯させる構成が分かりにくいというのと
プロットの穴が多すぎると言うことらしい。
確かにつっこみどころはあります。
例えば誘拐事件の捜査がずさんではないかという指摘
雪の中誘拐が起こったのであれば、当然車の周囲に足跡が残ってるはずなのにそれに関して何も言ってないとか、おとり捜査で捕まった犯人の周辺を洗わないとか・・
多分ね、刑事ものとして観ると穴だらけでツッコミどころもあるんですが
犯人は冒頭から分かっているわけで、犯人探しのミステリーでないのは明白。
ゴヤンは家族の葛藤に重きを置いたんでしょうね。

事件が動くきっかけとなるのは、ロザリオ・ローソン演じる女性刑事をリーダーとする小児犯罪を扱う警察の地道な操作のおかげなんですが、そこにはキャスに関する思いがけない事実もわかってきて、マシュー夫婦をさらに苦しめます。

時間軸の交錯は確かに最初分かりにくいんですが、ついていけないほどじゃない。
監督は、同じシーンを場面を変え繰り返すことで、娘を車に残したことを妻に責められ、警察には犯人と疑われる父マシューの痛みを浮き彫りにしたかったんだと思うし、その試みは成功してると思います。
ただレイノルズの風貌に8年の歳月を感じさせないため、最初はひげを剃るとかなんらかの工夫があると分かりやすかったか。

映画は小児虐待のシーンさえ画面上で見せることはしません。
この手の映画でグロ描写が皆無と言うのは、あえての演出でしょうが、そういうのを期待する人には「つまらない」という感想になるかな。

とはいえ、どう収束させるのかまるで予想が出来ないなか、レイノルズが奮闘する終盤はスリリングで見ごたえもありました。


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