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映画ノート

【映画】マイケル・ファスベンダーは『スティーブ・ジョブズ』


原題:Steve Jobs
日本公開:2016/2

1984、アップルのPC発表を30分後に控えた舞台裏では、スクリーンに「Hello」を表示できないというトラブルが発生しジョブズは激怒。一方楽屋に訪ねてきたアンドレアはスティーヴに娘サラの認知を迫るが・・

英国男優総選挙 特集 13回目

今日はマイランキングング6位のマイケル・ファスベンダー!!
でも本選では何故か30位以内に名前がないんだよね。なんで?
みーすけさんのお怒りはごもっとも。私も納得いきません。

今日はファスベンダーが主演の『スティーブ・ジョブズ』観てきました。

ダニー・ボイルが監督し『ソーシャル・ネットワーク』のアーロン・ソーキンが脚本を書いたいわずと知れたアップル創業者スティーヴ・ジョブズの伝記映画です。
これ凄くよかった!
選挙の前に公開されてたら順位も違ったかもだ。

あらすじにも書いたように本作は1984年、アップルがマッキントッシュを発表する30分前の舞台裏から始ります。世界を変えることになるパーソナル・コンピューターを世に送り出す第一声として「Hello!」と呼びかけたいジョブズ

ところがプログラムに問題が発生し、責任者が「出来ない」とのたまう。
『バカヤロー、なにがなんでも間に合わせろ!」
Fワードで罵声を浴びせるファスベンダーにのっけからビビらされました(笑)

この映画、ジョブズの転機となる3つの時期(「マッキントッシュ発表」「アップルを首になったあと作ったNextの発表」「アップル復帰」)の発表会場のステージ裏を主な舞台にし、これだけでジョブズイノベーションの軌跡を見せるという構成が面白い。

その全部のシーンに関わってくるのが娘のサラ。
DNA検査でも実の娘であることが証明されたにも関わらず、ジョブズはサラを自分の子供として認めようとしないのですよ。

アシュトン・カッチャーの映画は観てないし、ジョブズについても詳しく知らなかった私は、敵を作り摩擦の絶えないジョブズの一面に驚いたのだけど、そんなアッスホールのはずのジョブズが次第に愛しくなるから不思議です。

それは彼の実績と未来を見通す才能のみならず
本当にやりたいことをとことん追求する夢追い人であることがわかるから。

脚本もいいのだと思うけど、行間をしっかり演じたファスベンダーがとにかく上手い。
完璧主義ゆえに周囲との摩擦が絶えず、それに傷つくジョブズを演じるファスの表情に胸きゅん。
認知しないとしながらも、サラを愛していることも、彼女をみつめる瞳の優しさで表現しているのですよ。
勿論アシスタントを演じたケイト・ウィンスレットの力も大きくて
これほどジョブズを信じ支えられるのは、ジョブズに魅力がないと出来ないだろうと思わせます。


昨日トレーラーを検索していて、たまたまNHKクローズアップ現代が2001年に放送した「パソコン界の先駆者 そのベンチャー精神に迫る」という動画を見つけて観てみたんですが、そのインタビューの中にジョブズの夢や展望の全てが語られていて感動しました。

同時に「10年後の自分はどうなっていると思うか」という質問に「わからない」と答えていてはっとします。
「目標を持ってやっていても、変化が起きることもあるから」と。
丁度その10年後の2011年に56歳の若さでお亡くなりになったんですよね。
抗うことのできない変化に道を閉ざされたこと、さぞ無念だったことでしょう。

一見爽やかに終わる映画ですが、映像処理に暗示を感じて・・
彼に待ち受けるものを知っているだけに最後は涙があふれてしまいました。


ファスベンダーは勿論のこと、共演のケイト・ウィンスレットセス・ローゲンジェフ・ダニエルズみんなオスカーにノミネートされてもおかしくない素晴らしい演技でした。