【映画】アンドロイドの見る夢は?『エクス・マキナ』
エクス・マキナ(2015)イギリス原題:EX Machina監督:アレックス・ガーランド日本公開:2016/6/11
【あらすじ】
『28日後・・・』『わたしを離さないで』で脚本を手がけたアレックス・ガーランドの監督デビューとなるSFスリラーです。
主役ケイレブに『アバウトタイム~愛おしい時間について~』のドーナル・グリーソン。社長ネイサンにオスカー・アイザック。
社長宅にバカンスを楽しむくらいのつもりで来たのに、社長に自分の作ったアンドロイドの評価を依頼されてしまったケイレブ。
気乗りがしないまでも、社長には歯向かえない雰囲気があり、アンドロイドと対談、テストを実施することになるんですね。
アンドロイドのエイヴァに会ってみればこれが思いがけず自分好みのカワイ子ちゃん。エイヴァ役には、ファスベンダーとの路チューが目撃されたアリシア・ヴィキャンデルが顔と手先以外は機械シースルーなこんな風貌で演じてます。
アンドロイドと分かっていてもケイレブがどストライクなエイヴァに心惹かれていくというのは想定内ですが、これが単純なSFラブコメなどにはなってません。
アンドロイドの葛藤がわかってくる中盤からは、なにやら不気味な展開になっていくんですね。
しかし本作の怖いのはアンドロイドだけにあらず。
オスカー・アイザック演じるネイサンの経営するブルーブックというIT会社は、グーグルみたいな検索エンジンの最大手なんですが、『キングスマン』しかり、最近ではこういう企業が近未来SFの悪役と相場が決まってきましたよね。
ネイサンは人工知能の完成を夢見るマッドサイエンスでもあって、グーグルとマッドサイエンスのコラボがもたらす脅威は想像に難くないでしょう。
しかもオスカー・アイザックがネイサンを実に気持ち悪く演じてます。(70年代のガチムチフュージョン歌手風のダンスシーンは目がテンw)
そんなカリスマ社長に自分の未熟さをさらけ出すことを恐れ、表面を繕うケイレブが思いがけない陰謀に巻き込まれていくのも自然。
ケイレブは次第に自分の実体にさえ疑問を持つようになるんですが、ドーナル君が『わたしを離さないで』でクローンを演じていたことを思うと面白い配役ですね。
料理係としてキョウコという日本人の女の子が出てきます。
英語を喋れないという設定にも深い意味がありました。
それにしても人工知能も賢くなりすぎると本当に怖い。
アンドロイドの権利とか、人間とどっちが偉いのかとか、
古いSFで漠然と語られてきた問題が、物凄い現実味をもって押し寄せ
人工知能のもたらす未来に警鐘を鳴らすというのが非常に新しい。
クールな世界観も特異的で、じわじわと怖いスリラーとしても見ごたえあり。