【映画】『ミッドナイト・スペシャル(原題)』はSFスリラーとして観ると失敗する
ミッドナイト・スペシャル(2016)アメリカ
原題:Midnight Special
監督/脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:マイケル・シャノン、キルステン・ダンスト、ジョエル・エドガートン、ジェイデン・リーバハー、アダム・ドライヴァー
【あらすじ】
追っ手から息子を守るため、父は深夜車を走らせる
【感想】
『MUD マッド』のジェフ・ニコルズ監督の新作はちょっと変わったSFです。
奇妙なサングラスをかけた子供(ジェイデン・リーバハー)と何やら緊張した面持ちの男が二人(マイケル・シャノン、ジョエル・エドガートン)。片方の顔が指名手配のニュースで映し出され、3人はモーテルを出て夜明けのハイウエイに車を走らせる。
何もわからぬまま、3人の逃避行を見守ることになる本作
正直、冒頭の10分を見損ねたのではないかと頭の中「@&?+%」状態となりますが
次第に彼らが政府とカルト集団の双方から追われていることが分かってきます。
ようやく身を寄せた家でガタガタピシピシ・・
ここでも大地震発生か??!!
と思いきや、それが子供の超がつく能力の一端であることを知るんですわ。
ジェフ・ニコルズ監督作品は好きでデビュー作から観てますが、監督の作品のほとんどが家族への責任や絆といった結婚生活で感じたことが題材になっているんですね。
本作も幼い息子が熱性けいれんを起こし、夫婦で怖い思いをした経験から生まれた作品だそうです。
けいれんを起こした人を間近に見た経験のあるかたはお分かりでしょうが
およそ人間とは思えないような動きや表情を目前にするのは怖いものがあります。
ましてや幼いわが子となれば、子供を失うのではないかとの不安にもかられるでしょう。
本作では監督のミューズ マイケル・シャノンが、息子の能力に畏怖しながらも、息子を愛しひたすら守ろうとする父を演じ、監督の思いを代弁しています。
SFという監督にしては珍しいジャンルながら根本に家族愛があるところは従来通り。
クライマックスに向けスケールも大きくなるし、結末に衝撃もあるものの
正直面白かったかといわれると微妙(汗)
リニューアルした劇場の革張りの座席が滑って姿勢が落ち着かず集中できなかったのもあるけど
スローな逃走劇に少々飽きたし疲れてしまった。
唯一よかったのは、『スターウォーズ/フォースの覚醒』でレンを演じたアダム・ドライヴァー。
政府側のアナリストを演じるドライヴァーのどこかほのぼのした学者肌なキャラが退屈な作品(言っちゃったw)にユーモアと癒しを与えてくれました。
共演はほかにサム・シェパードとマイケル・シャノン
田舎のおばさんの風貌にはちょっとビックリなキルステン・ダンストが意外な母性を見せくれます。
はたして子供は何者かで家族は息子を守ることができるのか・・
SFスリラーを期待せずに観るのが正解かと。