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映画ノート

【映画】ゴーストアビス

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ゴーストアビス(2003)
オーストラリア
原題:Visitors
監督:リチャード・フランクリン
脚本:リチャード・フランクリン
出演:ラダ・ミッチェルスザンナ・ヨーク / ドミニク・パーセル/  レイ・バレット  / フィル・セベラーノ/ トッティ・ゴールドスミス


【感想
アトランダム映画祭」のっかり特集5本目
今日は正式コンペ作品からラダ・ミッチェル主演のオーストラリア産海洋心理スリラー『ゴーストアビス』
ヒッチコックを尊敬するリチャード・フランクリンの遺作となった作品です。

父のヨットで、6ヶ月間の単独航海に挑むジョージアラダ・ミッチェル)。
風に恵まれず大海原のど真ん中で立ち往生を余儀なくされたジョージアは静けさの中、不気味な幻覚に襲われる・・

リチャード・フランクリンが自身の代表作『パトリック』のようなワンルーム・スリラーを撮りたいと提案して誕生した「船上ぼっち」映画。

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ぁ、ぼっちとはいえヒロイン、ジョージアは無線で婚約者と交信しサポートを受けていて
同行の茶トラ猫も話し相手になってくれます。

え? 話し相手?
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そう、なぜかこの映画で猫は喋るのです。
しかも喋る猫しおちゃんの「おかえり!」みたいな、ほぼ空耳状態のものじゃなく
普通に人の言葉で話し、しかも悪態をつく。(でも可愛い💛)

喋る猫 それはライアン・レイノルズの『ハッピーボイス・キラー』で学習した
精神異常の一症状ではないのか?
案の上、孤独なジョージアは不思議な幻覚を見るようになります。
そしてフラッシュバックを交え、ヒロインの家族の問題が見えはじめると
彼女がある罪悪感に苛まれてきたことがわかってくる。

ある日、ロープに足が絡まったカラスを助けようとして、逆におぼれ死なせてしまったことをきっかけに
封印してきた罪悪感は「やったらやり返される」という具体的な恐怖となって、ジョージアに襲い掛かるのです。

原題は「visitors」。次々に目の前に現れる訪問者たちにより、身の危険を感じ始めるジョージア
訪問者たちの正体は?果たして彼女は無事に航海を終えることができるのか?

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まずこの映画、思いのほか評価が低い。
低批判の大半が、ヒロインが遭遇する不思議な出来事はスーパーナチュラルなのか現実なのか、
はたまた頭の中で起きている幻想なのかがはっきりしないことを理由に挙げてますね。

ふむ。確かに「あれはどっちだろう?」と思う部分はあるんですが
大体の部分は幻想、現実、幽霊の見当はつくし、多少あいまいで想像の余地を残した方が
映画として面白いと思うなぁ。

好きなのはお父さんの登場シーン
他はみんなヒロインの被害妄想が根本にあるけれど、お父さんに関してはス-パーナチュラルとしか思えない
遅れてきたマイブームの『オーラの泉』みたいな子を思う親の気持ちが感じられてよかった。

総じて、子供の頃から抱えてきたトラウマを克服しヒロインが成長する物語とくくりたいところだけど
あれらがすべて妄想だったとすると、精神状態としてはかなりヤバいのではないか。
なのでラストは爽快感を感じつつも、彼女の行く手に不安な気持ちを禁じえなかった。

ホラーとしては怖くないので、苦手な方も大丈夫ですね。

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主演のラダ・ミッチェルは『エイリアン』のリプリーも真っ青な強いところも見せてくれてびっくり。
60代半ばのスザンナ・ヨークが母親をクリーピーに演じていて印象的でした。

ちなみにヒッチコキアンであるフランクリンは本作制作にあたり、ヒッチコックの未公開の脚本からアイディアを得ようとしたようで、ペットの部分がそれにあたると言ってます。
猫が喋るヒッチコック映画?観たかったかも。



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