しまんちゅシネマ

映画ノート

私に近い6人の他人


1993年(米) 監督:フレッド・スケピシ 出演:ストッカード・チャニング 、ウィル・スミス 、ドナルド・サザーランド 他【ストーリー】高級マンションに住み、毎夜パーティで噂話に興じる美術商のキトリッジ夫妻は、突然、怪我をして転がり込んできた黒人青年ポールを、自分たちの子供の同級生だと信じ込んで部屋に上げた。洗練された言葉を操り、名優シドニー・ポワチエの息子だと名乗るポール。しかし次第に彼の正体が明らかになる。
 これは6次の隔たり」理論をもとにしたお芝居の映画化。
 その理論とは、1967年に行われた、社会学ミルグラムによる実験がきっかけ。
意図なく選ばれたボストン在住の株式仲買人に、やはりランダムに選ばれた人たちから何ステップで
 つながるか、というもの。結果その平均ステップ数が5.5だったことから、
 私たちは誰とでもおよそ6人でつながるという理論。
 興味のある方はこちらを参照してください。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E6%AC%A1%E3%81%AE%E9%9A%94%E3%81%9F%E3%82%8A

 若いウィル・スミスが演じるのは黒人青年ポール。知的で巧みな話術を操る魅力あふれる青年。
 ポールは自分の正体を偽りつづけ上流社会の人々との交流を持ちつづけます。
 しかし、世間は狭いもの。
 キトリッジ夫妻は友人が同じようにポールと時を過ごしたことを聞くこととなります。
 やがてポールは詐欺師として告発されることに・・・。
 ポールは彼を信じ一夜の宿を提供してくれたキトリッジ夫妻のことを忘れられず
 窮地に追い込まれた時に夫人に電話し助けを求めます。
 夫妻らと過ごした晩は心から楽しかったと語る彼。
 婦人はポールに自首することを勧め警察に同行することを約束しますが、道中交通渋滞にあい、
 警察に駆けつけたとき、ポールはまさに連行され車が発車する瞬間でした。
 車中から婦人を見つけたときのポールの嬉しそうな顔。切なさがつのりました。
 
 これは実話をもとにしたお話のようです。
役者の演技力にも助けられて、しっとりと心に残る佳作となっています。

 この作品で婦人役のストッカード・チャニングアカデミー賞他主演女優賞にノミネート。
  
ウィル・スミス。こういった静かな役でも十分に実力を発揮、魅力的にポールを演じています。
 ちなみにこのポールはゲイ。大スターとなった今では引き受けない役かもしれません。 

 この映画、日本でDVD化はされておらず、ビデオのみ。
 しかもお値段16,000円くらいするらしい。高っ。

 ★★★*☆