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映画ノート

ボルベール(帰郷)


2006年(スペイン) 監督:ペドロ・アルモドバル  出演:ペネロペ・クルスカルメン・マウラ/ロラ・ドゥエニャス/ブランカポルティージョ/ヨアンナ・コボ/チュス・ランプレアベ 【ストーリー】失業中の夫と15歳の一人娘パウラを養うため、せわしなく働くライムンダ。明るくたくましい彼女にも、10代の頃、確執のあった母がそのまま父と一緒に火事で亡くなってしまうという苦い過去があった。そんなある日、夫がパウラに関係を迫り、抵抗したパウラに刺し殺されてしまう。ライムンダは愛娘を守りたい一心で、夫の死体の処理に奔走、事件の隠蔽を図る。そのさなか、今度は故郷ラ・マンチャに住む伯母の急死の報せが。ライムンダの姉ソーレが葬儀へ駆けつけたところ、彼女はそこで死んだはずの母イレネの姿を見掛けたという奇妙な噂を耳にするのだったが…。
■感想
「オール・アバウト・マイ・マザー」ペドロ・アルモドバル監督による女性讃歌のヒューマンドラマです。

主演のペネロペ・クルスアカデミー賞主演女優賞にノミネート
カンヌでは最優秀賞優勝を獲得しましたが、この作品に登場する主な女性陣6人(上記の出演に名前を挙げた人全員)が女優賞にノミネートされたことでも話題になりました。

本作ではゲイな男性は登場しません。主な登場人物は殆ど女性。
そして描かれている女性が本当に強いんですよね~。

娘の殺人を隠蔽しようとするライムンダ(ペネロペ)がまずたくましい。
夫の死体を隣のレストランの冷凍庫に隠し、そのレストランで撮影クルー相手に食事を提供するたくましさ。
生活するためにはまずお金も必要!女って強い。

レストランでのパーティーで、ライムンダが母に教わった歌を披露するシーンがあります。
ラテン調の音楽を見事に歌い上げるペネロペ。ここはアカデミー授賞式の紹介の中でも登場しましたね。
でも、これ実際に歌っているのはエストレージャ・モレンテさんという歌手らしいです。
口パクのペネロペですが、彼女の美しさには目を見張ってしまいます。


少女の頃から、両親との間にある確執をもち、10代で故郷を離れたライムンダ。

娘を守る立場になった時、初めて母親の気持ちにも思いを馳せることになります。
親子に赦しが生まれるとき、故郷は本当の故郷になるのですね。

ユニークな隣人たちとの会話が楽しかったり、ペネロペの豊かな胸をやたら話題にしたり、
母を思い出させるものがおならの臭いだったりと、重いテーマを和らげるユーモラスなストーリー展開がいいです。


スペインという国のもつパワーが女性を一層たくましく魅せるのでしょうね。
故郷に帰って親と話しをしたくなる。そんな一本かもしれません。

今月末の公開です。


★★★*☆