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映画ノート

大統領暗殺


2006年(イギリス)監督:ガブリエル・レンジ出演:ヘンド・アヨウブ/ブライアン・ボーランドベッキー・アン・ベイカー/マイケル・ライリー・バークロバート・マンジャルディ/ジェイ・ウィッテカー/ジェイ・パターソン/ジェームズ・アーバニアクジョージ・W・ブッシュ(アーカイヴ映像)/ディック・チェイニー(アーカイヴ映像)【ストーリー】2007年10月19日、アメリカ合衆国第43代大統領ジョージ・W・ブッシュを乗せた専用機が、緊迫した雰囲気のなかシカゴに降り立つ。演説が予定されていたシェラトン・ホテルまでの沿道は、総計で一万人を超える抗議団体らであふれかえっていた。一部でデモ隊と警官の間で暴力的な衝突も起こるが、大統領を乗せたリムジンは何とかホテルに到着。大統領は演説を快調に進め場内で喝采を浴びるが、ホテルの外ではデモ隊がさらに数を増して大統領を待ち受けている。演説を終えてホテルの外でリムジンに乗り込もうとした時、大統領に向けて銃弾が二発放たれる。
■感想
これはドキュメンタリーの形で描かれたフェイクドラマです。
映画の中でブッシュ大統領が暗殺されたのは2007年10月19日となっていたため、
正直その日が無事すぎたことにホッとしています。

この作品を作ったのはイギリスのガブリエル・レンジ。ドキュメンタリー映画を主に撮ってこられた人のようです。

映画は昨年のトロントの映画祭で批評家賞を受賞してますが、全米では「大統領暗殺を奨励する可能性がある」との心配から政府からの圧力がかかり、91館での限定公開となったそうです。

映画を観ずに、この作品が「大統領暗殺を奨励する可能性がある」と考えるのはおかしいという声もありますが、
実在の大統領が暗殺されるという、内容が内容だけに、これは仕方のない事でしょう。

私などでさえも、映画にかこつけ、この日にブッシュ暗殺を目論む人が出て来るのでは?と心配してしまいましたもん。



映画の感想はといいますと、やはり暗殺の瞬間までが緊張しますよね~。

ただ、後半はどうでしょう。
大統領を守る事が出来なかった周囲の後悔の念が語られるとともに、FBIの捜査の様子が語られます。
容疑者としてあげられるのが、イスラム系の人々です。

9.11以来、アメリカではテロ対策法が議会を通過し、疑わしきを取り締まる方法がプライバシーの侵害を超えた状態で
まかり通るようになりました。

さて、この映画の目的はなんでしょう。
監督によると【仮説に基づき、未来のレンズを通して現在を見つめ直す】ということらしいです。
実在する大統領を使うことでよりリアリティを持たせながら、今のアメリカに起こっている事を検証しようと言う事ですね。
その結果見えて来たものは9.11の亡霊に悩まされ続けるアメリカの姿でしょうか。

同時にものごとは簡単に作りあげられるということの恐さでもあるでしょう。

映画に登場する大統領、副大統領は、膨大な記録からつなぎ合わせた編集映像だそうです。
今時の技術を駆使すればこんなことまでできちゃうんですから怖いです。

何が本物で何が偽物か、、私たちはきちんと目極める目を持たなければいけないんだということも感じますよね。


暗殺までの緊迫感は良かったものの、終わってみれば、今ひとつ退屈な映画だったかなという印象。
思い描いていたものとは違いました。

監督は伝えたい事を十分伝える事が出来たのかな??


★★★☆☆