しまんちゅシネマ

映画ノート

さよなら。いつかわかること


2007年(米)監督・脚本:ジェームズ・C・ストラウス出演:ジョン・キューザック/シェラン・オキーフグレイシー・ベドナルジク/アレッサンドロ・ニヴォラマリサ・トメイ/メアリー・ケイ・プレイス【ストーリー】シカゴのホームセンターで働くスタンレーのもとに、ある日、イラクに出征中の妻グレイスの戦死の報が伝えられる。気持ちの整理がつかないスタンレーは、2人の娘、12歳の長女ハイディと8歳の次女ドーンにその事実を伝えることができない。いたたまれなくなったスタンレーは、彼女たちを車に乗せると、ドーンが行きたがっていたフロリダの遊園地を目指して突然の家族旅行を始めるのだったが…。
■感想
ある日突然届いた、妻グレイスの戦死の報。

兵士を家族に持つものにとって、軍からの遣いが二人ドアの前に立ち、家族の名前を確認する
その瞬間ってどれほど恐ろしいものでしょう。

ただ呆然と、軍からの報せを受けるスタンレー(ジョン・キューザック)。彼にはもはや何も聞こえない、何も見えない。
しかし、スタンレーは父として子供たちにこの悲しい事実を伝えなければいけないのです。

物語は、スタンレーが娘たちに母の死を伝えるまでの心模様を、ロードムービー風に丁寧に丁寧に描きます。

主人公のスタンレーを演じるのは、大好きな俳優さんの一人でもある、ジョンキューです。
かつて自らも兵士であったスタンレーでしたが、視力ゆえに除隊を余儀なくされました。
妻だけが戦地に赴き、自分は留まることしか出来ないことはスタンレーには大きな負い目となっていたことでしょう。
どこか抜け殻的で、娘たちに関心を向けることも仕事に精力を注ぐこともできない、そんな日常。

妻の死を子供たちに伝える過程で、スタンレーは子供たちとあらためて正面から向き合います。
そして、家族でグレイスの死を受け止めていくのです。

ジョンキューの痛々しさが切なくて、何も知らずはしゃぐ子供たちが悲しくて、、
ベタな部分はあるものの、やっぱり泣かされちゃいますね~。
旅を通してちょっぴり成長していく子供たちの姿が健気です。

途中、愛国心という言葉が出て来ますが、この言葉に馴染みがない私たちにはピンとこない部分かも知れません。
イラク戦争に対する国家の姿勢は世界の非難をあびるものかもしれないけれど、国民としては、
純粋に国を愛し、仕えようとしてるんですよね。

監督。脚本を勤めたジェームズ・C・ストラウスは本作が初監督作品とのこと。
(そもそもは監督はロブ・ライナーが担当する予定だったそうです)
本作は自らも父親である彼が、兄弟とその家族との関係を目にした経験から生まれた作品のようで
愛する家族を戦争で失う喪失感と闘う人々の姿を、優しいまなざしで見つめていました。

でも一番の泣きのポイントが【子供たちに事実を伝える瞬間】であったのは、ちょっとベタかな。
もう少し違った感動を期待していたので、これはちょっと残念でした。


話題になったのは、クリント・イースト・ウッドが初めて音楽だけで作品に参加していること。
その優しいメロディは間違いなく、作品のクオリティを上げていますね。


★★★★☆   ジョンキューポイント追加です。