しまんちゅシネマ

映画ノート

マイ・ブルーベリー・ナイツ


2007年(香港/中国/フランス)監督:ウォン・カーウァイ出演:ノラ・ジョーンズジュード・ロウデヴィッド・ストラザーンレイチェル・ワイズナタリー・ポートマン【ストーリー】ニューヨークのとあるカフェ。失恋したエリザベスは、この店のオーナー、ジェレミーが焼くブルーベリー・パイを食べ少しだけ心癒やされる。それでも、なかなか別れた恋人のことが忘れられない彼女は、ついに宛のない旅に出る。仕事をしながらメンフィス、ラスベガスとアメリカを横断していくエリザベス。彼女はその先々で、それぞれに愛を求め愛に傷つく人々と出会い、彼らと束の間の時間を共有していく中で新たな自分を見いだしていく。

黒く塗りつぶせ! ロンドンタイム誌100選

■感想
ずっと観たかった作品。ようやくDVDが発売され早速ゲットしました。
うーん、やっぱり思った通りに素敵な作品でしたね。
観てる間中ずっと、フワフワと身体が宙を漂ってしまうような、不思議なときめきを感じながらの鑑賞。

せっかくDVDで観たので、今日はメイキングに収録された監督、出演者のインタビューのエピソードから
感想を書いていこうと思います。

まずこの作品、最初はカフェで出会う一組の男女のショートストーリーだったんですね。
監督ウォン・カーウァイが、初めてノラ・ジョーンズを知った時に、この物語の主人公エリザベス役にぴったりだと感じたそうで、そこからノラへの交渉が始まったようです。
次にイギリス人と言う設定が面白いかもということでジェレミー役のジュード・ロウが決まり‥。
カフェでのお話を膨らませるために二つの物語りが付随された。
エリザベスは、知り合った人々の様々な生き方に触れながら、自らを成長させていったのでした。

カフェの名前はロシア語で「鍵」。人々が忘れていった鍵にはそれぞれのストーリーがあり、、。
吹きだまりのようなカフェのオーナー、ジェレミーは忙しい自分を保つことで、自分の辛さを忘れようとしていた人だったことも言われて初めて気付きました。 

悲しい物語りを綴ってくれたレイチェル・ワイズ。実は、撮影が決まった後に妊娠がわかり、彼女は監督に電話して自分の撮影のパートを後に回して欲しいと依頼したそうで、撮影は出産後となったようですよ。
ボディラインもしっかり戻し、見事な演技でしたが、赤ちゃんを撮影現場に連れて来ていて、4時間ごとにミルクをあげることが出来るよう、集中して演じたのだとか。凄い根性!

ギャンブラーレスリーナタリー・ポートマンをというのは監督の直感的な決断で、キャスティングマネージャーも、制作者も実は二の足を踏んだのだとか。でも監督はナタリーに若い日のジーナ・ローランズのイメージを重ね、
金髪のナタリーがレスリーにピッタリと考えたようです。

エリザベスは日々の出来事をハガキにしたためジェレミーに送ります。
自分のことを話すことが苦手なエリザベスが、ジェレミーには全てを話したくなった。
でもこの時点で、エリザベスはコミュニケートを求めてはいないのです。電話でなくハガキであったことも意味があり、
一方通行的にただ、自分のことを話したかったのですね。
人の意見を必要としない頑固者でもあるエリザベスの人柄が垣間みれるエピソードです。

そんなエリザベスがカフェに戻るのも、様々な出会いにより、触れ合い、心を開くことの大切さを知ったから。
旅によって彼女は大きく成長していました。

そんなエリザベスの変化にもすぐに気付くジュードは言うまでも素敵。
評判のカウンター越しのキスシーンでは胸キュンですよね(笑)
音楽はライ・クーダー。監督特有のブルーや紫に彩られた幻想的な映像によくあっていました。

勿論お気に入りの1本になりました。


★★★★*