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映画ノート

ミシシッピー・バーニング


1988年(米)監督:アラン・パーカー出演:ジーン・ハックマンウィレム・デフォーブラッド・ドゥーリフフランシス・マクドーマンドR・リー・アーメイ/ゲイラード・サーテイン/スティーヴン・トボロウスキーマイケル・ルーカープルイット・テイラー・ヴィンス/パーク・オヴェラル【ストーリー】全米にフリーダム・サマー(自由の夏)が吹き荒れる64年6月、ミシシッピー州ジュサップの町で起きた3人の公民権運動家の失踪事件を重要視するFBI は、2人の腕きき捜査官を現地に派遣した。しかし町の人々は非協力なだけでなく敵意さえも明らさまにする。

80年代プチ映画祭り 第7弾!

■感想
1964年に米ミシシッピ州公民権運動家3人が殺害された事件をモデルにした社会派映画です。

この時代、ミシシッピーは全米でもっとも黒人の投票権登録数が低く、人種差別がはびこる土地だったのですね。
3人の公民権運動家は、この土地に活動に訪れ、KKKである保安官や保安官補によって殺害されました。

映画はこの事件(活動家の失踪)を重く見たFBIが捜査に乗り出すところから始まります。
捜査に当たったのが、元郡保安官でたたきあげのルパート・アンダーソン(ジーン・ハックマン)とハーバード大出のエリート、アラン・ウォード(ウィレム・デフォー)。

まず驚くのは、この時代の黒人差別の実態です。
捜査に協力する黒人はKKKにより、容赦なく暴行を受け、家を焼き払われるのですが、
この恐ろしい光景が黒人の歌うゴスペルにかなさって物悲しくも美しい。。

根深い黒人差別の思想を支配する影の存在が見え隠れする中、果たして事件は解決をみることが出来るのか。

この映画の面白いところは、人種差別を扱う社会派というだけでなく、
二人の捜査官の魅力に触れながら、その捜査劇を堪能することが出来る点です。

地道に、FBI流捜査を貫こうとするデフォーに対し、時に力づくに、男っぽく捜査を進めるハックマン。
対照的なふたりが、次第に互いをリスペクトしていく様子は心地よく、さながらバディものの楽しみです。
ハックマンのウィンクがちょっとこそばゆいですが(笑)、二人のやり取りは観応えがありました。

事件に絡む保安官補、ペレの妻という役柄で登場するのがフランシス・マクドーマンド。(なんとなく色っぽいw)。
この土地に生れ、この土地で暮らす人間の、諦めと強さを流石の存在感でみせてくれます。



オスカー主要7部門にノミネート、撮影賞獲得の本作は、骨太で観応えたっぷり。
お薦めです。



★★★★*