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映画ノート

彼が二度愛したS


2008年(米)監督:マーセル・ランゲネッガー出演:ヒュー・ジャックマンユアン・マクレガーミシェル・ウィリアムズ/リサ・ゲイ・ハミルトン/マギー・Q   シャーロット・ランプリングナターシャ・ヘンストリッジ/ブルース・アルトマン【ストーリー】ニューヨークに暮らす真面目な会計士、ジョナサン。友だちもおらず、職場と家を往復するだけの退屈で孤独な人生を送っていた。そんなある日、セレブを絵に描いたような優雅な生活を送る弁護士のワイアットと知合い、意気投合する。ふとした偶然から、ジョナサンはエグゼクティブのための会員制秘密クラブを紹介され、美女との一夜限りの関係にのめり込んでいく。やがて、かつて地下鉄で見かけて一目惚れした女性とそのクラブで再会する。名前が“S”から始まることしか分からないその女性に溺れるジョナサンだったが…。
■感想
あまり良い評判は聞かないものの、キャストに惹かれての鑑賞です。

ニューヨークに暮らす会計士ジョナサンにユアン・マクレガー
企業に赴き、短期に必要な会計処理をするのがジョナサンの仕事。
友だちも、恋人もない。真面目に仕事をこなしてきただけの孤独な男をユアンは巧く演じています。

ある日知り合ったセレブな弁護士ワイアット(ヒュー・ジャックマン)に気を許したのは孤独さ故。
フランクで華やかなワイアットに憧れる気持ちもあったのでしょうね。

ワイアットの携帯電話を取り違えるという偶然から、ジョナサンはある会員制の秘密クラブを知る事となります。
そこで、かつて地下鉄で見かけひと目惚れした女性S(ミシェル・ウィリアム)と再会し、恋に堕ちるのですが、
同時に彼の周りで不穏な出来事が起こり始める。。と言った内容です。

これはサスペンスでありラブストーリーでもあると思うのですよね。

孤独な男がターゲットであること、媒体としての秘密クラブの存在、Sとしか知らない謎の女性など
面白い題材が揃っているし、どこか乾いた都会の犯罪の雰囲気も悪くないです。

犯罪に巻き込まれたユアンがどうなっていくのいくのか、ミシェルとのロマンスの行方も気になり、
途中まで面白く観ることが出来ました。



でも観終わって、何かが足りないと思うのは確かかなぁ。
ヒュー・ジャックマンの背景にもう少し説明があれば、なにかもっと感情移入できるものもあったかも。

後半、ユアンがあまりにスマートに事を進めたところも、彼のそれまでのキャラとのギャップがあった気がします。
映画としてリアリティのないままに作り込み過ぎてるという印象かな。

Sにプレゼントするアヒルの玩具は巧い使われ方でしたね。
きっと彼女もワイアットと同じ穴の狢だったのではないかな。
いつしか欲に流されてしまったのであろう哀しい女S(ミシェル)が、アヒルの玩具に心からの笑顔を見せるシーンが好き。
最後に彼女がこのアヒルを握りしめる、それだけで深い味わいを残したと思います。

ラブストーリー的に観れば、まずまず楽しめました。



★★★*☆