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映画ノート

チョコレート


2001年(米)監督:マーク・フォースター出演:ビリー・ボブ・ソーントンハル・ベリーピーター・ボイルヒース・レジャー/ショーン・コムズモス・デフ/マーカス・ライル・ブラウン/ミロ・アディカ/ウィル・ロコス【ストーリー】ハンクはアメリカ南部の刑務所で死刑囚棟の看守を長年務めてきた男。彼の父も同じ看守を務め、今は息子のソニーが同じ道を歩み始めたところだった。ハンクは父譲りの人種差別主義者だったが、息子のソニーは心の優しい人間で、そんなハンクの考え方に疑問を感じていた。黒人の囚人ローレンス・マスグローヴに対する処刑の日、ハンクとソニー電気椅子に向かうローレンスに付き添うことになったが、慣れないソニーは執行の直前に取り乱してしまった。刑の執行後、自らの職務に厳格なハンクはそんなソニーの態度を厳しく叱責してしまう……。
■感想
今月22日はいよいよオスカーノミネーションです。
前哨戦の状況をみても、ヒースの助演男優賞受賞が俄然現実味を帯びて来ましたね。

我が家は旦那がコンピューターショップ好きで、ほぼ毎週行ってますが、私はDVDコーナーをうろつくのが楽しみの一つ。
今年になって、ヒースの出演作の全てが、目立つようにディスプレイされています。、
ヒースのオスカー受賞に大きな注目が集まってるという証拠ですね。

さてさて、今月はオスカーノミネート予測も含め、期待の作品や、役者の過去の作品などを観ていこうと思ってます。

まず第一弾は助演男優賞に最も近いと思われるヒース・レジャーの出演作から。
ハル・ベリー主演女優賞受賞作でありながら見逃してきた一本でもあります。

人種差別的思想を抱えた死刑囚棟の元看守が、ある悲劇をきっかけに自らの生き方に疑問を抱き、やがて死刑囚の妻である黒人女性と恋に落ちていくさまを描いたヒューマンドラマです。

これは面白かったですね。
主人公の元死刑因棟看守にビリー・ボブ・ソーントン。その息子ソニーを演じるのがヒース・レジャーです。

ビリボブは父親譲りの人種差別者。ある黒人男性の死刑が執行されることになり、電気椅子に向かうデッドマンウォーキングに同行するソニーですが、心優しいソニーは心穏やかに業務を遂行することができませんでした。



そんなソニーをなじる父親ビリボブ。
彼は息子に亡き妻の姿を重ねていたんでしょう。

3代に渡る親子の確執。そこには愛するものに愛情を与えることの出来なかった後悔や、愛されなかったという哀しさが根底にあり、その血を受け継いだ息子を愛することができないという連鎖がありました。

そんなビリボブが愛することになるのが、死刑囚の妻のハル・ベリー
隠れてチョコレートを食べる肥満の一人息子に、ついつい意志の弱い夫の姿を重ねてしまう。
彼女もビリボブも同じ思いを抱えた似たもの同士だったんですね。



悲劇と対峙しながら互いを求めていく二人は、互いに失った心の穴を埋め合うようでとっても激しい。
ビリボブも良かったですが、ハル・ベリーの体当たりの演技は流石に賞賛できるものでした。

ヒースは登場時間こそ短かったですが、やっぱり良い演技。
今観るのはちょっと哀しい役でしたけど。。


監督さんのマーク・フォスターって『君のためなら千回でも』などを撮ってる方だったんですね。
『007/慰めの報酬』も監督してるようで、ちょっと気になって来た。。

親子の確執に加え根深い人種差別意識を絡め、一筋縄ではいかない男女の愛を描いた本作は
リアルな描写もありは好みが別れそうですが、複雑な心のうちを鋭く描く作風は好きでした。



★★★★☆