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映画ノート

パラノイドパーク


2007年(フランス/アメリカ)監督:ガス・ヴァン・サント出演:ゲイブ・ネヴァンス/テイラー・モンセン/ジェイク・ミラー/ローレン・マッキニー/スコット・グリーン【ストーリー】スケートボードに夢中の16歳の少年アレックス。その日、スケートボーダーたちの憧れの公園“パラノイドパーク”へ向かった彼は、不良グループと出会い危険な遊びに誘われる。しかしその遊びの最中、彼は誤って警備員を死なせてしまう。事件とアレックスを結びつける証拠はないものの、罪の意識を強く感じるアレックス。それでもなんとか今までと変わらない日常を送ろうとするアレックスだったが…。
■感想

祝オスカー・ノミネート!! 監督賞候補 ガス・ヴァン・サント

今日はショーン・ペン主演の『ミルク』で監督賞にノミネートされたガス・ヴァン・サント監督作品です。

主人公アレックス(ゲイブ・ネヴァンス)はスケートボードに夢中の16歳の少年。
海辺のベンチに座り、手紙を書いているアレックス。

時間軸が交錯し、手紙の内容が再現され‥、
物語りは【ある事件】の日を映し出すことに。。

それは、スケーボー少年たちの聖地'パラノイドパーク’近くで起こりました。


思春期の少年に、突然ふりかかった出来事。
なんとか平静を装おうとしても、頭からその事実を押し出すことはできない。
揺れる少年の心の動きが鮮やかでした。

なんて言うのかなぁ。
アレックスの心を揺らすものは、例えば『帰らない日々』でひき逃げ事件を起こしてしまった、マーク・ラファロのような、
守るべきものがあるとか、被害者のことを思うというのとは少し形の違う‥
うまく言い表せないんだけど、漠然と迫りくる不安と罪の意識。
抱えきれない不安を感じながらも、一見平静を装えるのも、少年だからかもと思ったり。

もしも彼が全てを吐き出すことが出来たら、もっと楽になったのかもしれない。
でもアレックスには相談できる相手がいないというのはイタかった。

両親は離婚直前で別居中。
一緒に暮らしている母親は、おそらくアレックスにとっては影の薄い存在だったんでしょうね。
印象的だったのはその映像で、お母さんは画面に登場しても常に後ろ姿だったり、遠くからだったり、
あるいは近くにいてもカメラの焦点があっておらず、顔を判別することすら出来ないのです。
アレックスの世界に存在するものだけを鮮明に映し出す。心の鏡のような映像表現は興味深いところでした。

この映画では、事件がどう解決したかは描いていません。
そのため好き嫌いは別れる作品かもしれません。
それでも少年の心に限りなく迫った本作は、繊細で瑞々しく
少年の中で、最後には何かが開放された。そんな気がするので、意外にも観賞後感は爽やかな不思議な余韻を残します。
音楽もいいですね。



★★★★☆




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