しまんちゅシネマ

映画ノート

Sangre de Mi Sangre(原題)

2007年
監督・脚本:クリストファー・ザラ
出演:Armando Hernandez, Jorge Adrian Espinolda, Paola Mendoza, Jesus Ochoa
■感想
サンダンス映画祭グランプリ受賞インディペンデント・スピリット賞では脚本賞にノミネートされた作品です。
メキシコからの不法移民の二人の青年の運命を描いた、深くダークなスリラーです。

メキシコの国境を越え、アメリカに不法入国した青年ジョアン。
複数の移民を不法にニューヨークへと運ぶトラックに飛び乗り、そこで17歳の少年ペドロと出会います。
ペドロは母親を亡くし、母に託された手紙を頼りに、ニューヨークでレストランを経営するという父の元を訪ねるらしい。
ところが翌朝目を覚ますと、持ち物は盗まれ、ペドロは無一文でブルックリンの下町に放り出されることに。

その頃、ペドロの父ディエゴのドアを叩く一人の青年の姿が。なんとそれはペドロと名乗り、彼に成り済ましたジョアンだった!

んもう~、こんな不条理な映画観たこと無い(涙)

無一文のペドロがコンビニで「お金はないけどお腹ぺこぺこなんです。」って言うところから可哀想で可哀想で(泣)
純情無垢な少年が犯罪に手を染めてしまう姿があまりにも必然なようでイタいです。


こういうのって父を訪ねて三千里とばかりの感動物語になりそうだけど、とんでもないスリラーな映画になってるんですよ。
裕福にレストランを経営してるのかと思った父はしがない皿洗い。しかも造花作りの内職までしてるんだけど
そんなディエゴにジョアンは金目当てで接近してるんですね。
最初はジョアンを信用していない父ディエゴが、次第に息子として愛情を注ぎ始める様子にもハラハラで
信じちゃダメ!!ってはらわたが煮えくり返る。。
ペドロが偶然知り合い、父探しを助けることになるジャンキーな娼婦の描き方といい、
生き延びる手段として犯罪の道を歩んでしまう、貧困層の実態を思い知らされるところでもあります。
しかし、ラストを迎えた瞬間には「ぐわーー!!!なんじゃこりゃ!」と怒りと哀しみの感情が吹き出しました。
でも‥、映画としてはとっても面白かったと思うのね^^;
流石にインディーズで注目されるだけのことはあります。

まだ日本での公開予定はないですが、これはぜひともDVDリリースして欲しい。
今までにない不条理感を味わいたい方は必見^^; 斬新でした。



★★★★☆