しまんちゅシネマ

映画ノート

荒野の用心棒


1964年(イタリア)監督:セルジオ・レオーネ  原作:黒澤明出演:クリント・イーストウッドジャン・マリア・ヴォロンテマリアンネ・コッホヨゼフ・エッガー【ストーリー】ニューメキシコ国境の町サン・ミゲル。ふたつの無法者勢力が争い続けるこの町に、ふらりと現れた風来坊ガンマンは、互いの勢力をうまくだましながら、それぞれを破滅へと追いやっていく…。
■感想
イタリアのセルジオ・レオーネによるマカロニ・ウエスタンの金字塔
これを観ずして、イーストウッドを語るわけにはいきませんよね。ってことでようやく観ました。

さすらいのガンマン、ジョー(イーストウッド)が、ニューメキシコの国境サン・ミゲルを牛耳る2大勢力の
双方を破滅に追いやる姿を描くアクション西部劇。

これ、黒澤明監督の『用心棒』を西部劇に置き換えた、なんちゃってリメイクな作品なのね。
もっとも、公式にリメイクの手続きをとっていなかったため、盗作として訴えられ黒澤側の勝訴。
世界収入の15%は黒澤サイトへ流れることとなり、後に黒澤は、その収入は『用心棒』を越えたと明かしてます。
セルジオ・レオーネ監督にしてみれば、ここまで世界で大ヒットする作品になるとは思わず
きっと軽い気持ちで作ったんでしょうね。

それでも、本作がイーストウッドを大スターにのしあげたことは間違いないところで、
イーストウッドにとって「黒澤監督がいたからこそ、今の自分がある」ということになるようです。

本作のイーストウッドもニヒルで渋い!
短い黒い煙草をくわえ、しかめっ面。
素性のしれないさすらいの一匹狼で、凄腕ガンマンとしてアッという間に敵を撃ち殺してしまう彼が、
敵に囲われた人妻を救出するという情を持ち合わせてるのがいいですね。
助け出したあとの台詞から、母と別れた事情が窺え、残忍非情なウエスタンにセンチメンタルを与えてるのも好き。
でも奇麗な女性が出て来るたびに、いつイーストウッドが手を出すかと、内心ヒヤヒヤでしたけど(*>∀<*)



エンニオ・モリコーネのスコアもイカしていて、赤と黒のアニメで見せるしょっぱなからカッコ良かったですよね。
エレキギターによるサウンドが乾いた黄色い荒野にピッタリ。
日本の時代劇風でもあり、懐かしい気分にもなりました。

ただね、マカロニ・ウエスタン初体験の私には、イタリア系の藤樹人物がみんな同じ顔に見えて‥。
相関図が欲しかったw 鑑賞に3日かかっちゃったです^^;

因にマカロニ・ウエスタンという言葉は淀川長治さん命名なんですね。
アメリカではスパゲティ・ウエスタンとしてTV欄などでも表示されてて、なんかピンここないわ(笑)




★★★*☆