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映画ノート

太陽がいっぱい


1960(フランス/イタリア)監督:ルネ・クレマン出演:アラン・ドロン/マリー・ラフォレ/モーリス・ロネ/エルヴィーレ・ポペスコ/ビル・カーンズ【ストーリー】貧しい青年トムが、富豪の友人フィリップを殺害した。そして、彼に成り済まして財産を奪おうとする。身分証の偽造や筆跡の練習、トムの緻密な計画は完璧に見えたが……。
■感想
天下のアラン・ドロンの代表作なのに、恥ずかしながら最後まで観たのは今回初めて。
どこにそんなおばさんがいるんじゃーと、突っ込まれそうですが。(:D)┼< バタッ

若く美しいアラン・ドロンが、富豪の友人を殺す冷酷なリプリーを演じた、ルネ・クレマンによる名作サスペンス。
後にマット・デイモンが演じた『リプリー』は、彼の惨めさがあちこちににじみ出ていたけど、
ドロンときたら、自分こそが全てを所有する権利がある、と言わんばかりの傲慢さで計画を進める。
なんたってあの美貌ですから、それもそうだと、観ている自分がいたし(*∀*)

で、既に語り尽くされた名作だろうと思うので、ちょっとネタバレ気味に。
未見の方はスルーしてください。

サスペンス性も、映像的にも秀逸で、勿論アロン・ドロンも美しい。
でもこの作品の最大のポイントとなるのは、タイトルにもなってるラストの名台詞


これに尽きるはずですよね。


お洒落な服や靴、豪華なホテルやメイドたち、贅沢三昧の暮らしに可愛い恋人のマルジェ(マリー・ラフォレ)。
輝く太陽さえもフィリップ(モーリス・ロネ)のものでした。

リプリーがその全てを手に入れたとき、彼は自分にさんさんと太陽が降り注ぐのを感じ
太陽がいっぱい。これまでで最高の人生だ。」と呟くのです。

しかしながらその幸せはホンのつかの間。
だからこそ、切なさが増し、あの切ないメロディでカタルシスを感じるわけで。

うーん、この台詞はやっぱり「太陽がいっぱい」じゃなきゃダメじゃん!

というのも、今回観たアメリカ版のDVDで、「The sun's bit too hot.」って言ってたのがどうもピンとこなくて。
この台詞の捉え方によって作品の重みが変わってくるだろう~と、ちょっと寂しく感じた訳です。

そもそも、英語のタイトルは『Purple Noon』なんですよね。
だからこれが『太陽がいっぱい』だと気付かずにいました。

紫の月、これはリプリーの心を映したものなのか。
フィリップに輝く明るい太陽との比較になってるのかもしれませんね。あくまで想像です。
そう言えば映像中に紫色なシーンがあったような。。

ま、その名台詞に感動できなかったのが寂しかったですが、
サスペンスとしての構成も、リプリーの切なさを考えてもよくできた作品でしたね。
やっぱり音楽がいいわ~。


★★★★*


6/11【追記】
皆様もうしわけありません。
米タイトルは『Purple Moon』と記載してしまいましたが、『Purple Noon』の間違いでした。
紫の月でなく、紫の昼・・・。  修正してお詫びしますm(_ _)m