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映画ノート

リプリーズ・ゲーム

2002年(イタリア/イギリス/アメリカ)監督:リリアーナ・カヴァーニ原作:パトリシア・ハイスミスアメリカの友人』出演:ジョン・マルコヴィッチダグレイ・スコットレイ・ウィンストンレナ・ヘディ/キアラ・カゼッリハンス・ジシュラー/パオロ・パオローニ【ストーリー】イタリアで裕福に暮らすトム・リプリーのもとに現れた、かつての犯罪仲間リーブス。彼はロシア・マフィアのボス暗殺をリプリーに依頼するが、リプリーはパーティーで自分を侮辱した青年ジョナサンを弱みにつけこみ暗殺者に変身させる犯罪ゲームを始める! 
■感想
昨日に続き、パトリシア・ハイスミス原作の「リプリーシリーズ」の映画化
太陽がいっぱい』『リプリー』の続編でもある本作は、リプリーのその後を見ることが出来ます。

 

大金を手に入れたあとも、残忍な犯罪を繰り返したであろうリプリー
イタリアで裕福に暮らす中年リプリーを演じるのはジョン・マルコヴィッチ!(≧∀≦)ノ

 

彼の元に、かつての犯罪仲間リーブスからロシア・マフィアのボスの暗殺の話しが持ち込まれます。
リプリーは、パーティの場で自分を侮辱した額縁職人ジョナサン(ダグレイ・スコット)をリーブスに斡旋。
金を必要とするジョナサンは、悩んだあげくに暗殺に手を染めるのでした。

 

これ途中まで観て気付いたんですがヴィム・ヴェンダースの『アメリカの友人』とストーリーが酷似!
と思ったら、原作が同じだったんですね。

 

アメリカの友人』ではリプリーデニス・ホッパー、額縁職人ジョナサンをブルーノ・ガンツが演じていましたが、
私が「リプリーシリーズ」を意識してなったからか、リプリーの心理にあまり記憶が無いのです^^;
どちらかというとブルーノ・ガンツに焦点を当てた作品でもあったのかもしれません。

 

マルコヴィッチの本作はというと、『太陽がいっぱい』を観たばかりでもあるので、流石にリプリーに目がいきます。
額縁職人ジョナサンに「金はあるが装飾のセンスが悪い」と侮辱されるあたりも、『太陽がいっぱい』を思いださせます。
その侮辱がもとで、リプリーはジョナサンを暗殺者に仕立てるゲームを思いつくわけで、ジョナサンはリプリーの一番触れてはいけない部分に触れたんですよね。

 

さて、物語はずぶの素人のジョナサンがマフィアの暗殺を実行しようとするハラハラなシーンに始まり、やがてはリプリーとともに追われる立場になるサスペンス性に富んだ作品に仕上っています。

 

そして見所はジョナサン、リプリーの間に芽生えていく友情関係。
マット・デイモンの『リプリー』が原作に近いとすれば、二人の間に芽生えたのは愛情でしょうか(*∀*)

リプリーが両親のことを語るシーンなどあり、リプリーのバックグラウンドが垣間みれるのも興味深い。

 

ヴェンダース作はどこか穏やかな印象でしたが、こちらのスタイリッシュで刹那な感じもなかなか良いです。

 

冷徹なリプリーが友を救うために奔走するという人間性を加味した点が見所でもあるでしょう。

 

音楽を担当するのがエンニオ・モリコーネとあって、リプリーの妻の奏でるハープシコードにマルコヴィッチが連弾するシーンなど、美しい曲に彩られている点も魅力の作品でした。日本未公開。

 

 

 

★★★★☆