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映画ノート

ジョニーは戦場へ行った


関連映画祭り 13本目!

昨日の『パブリック・エネミーズ』に関連して、
今日はジョニーの出演作で未見のもの、もしくはクリスチャン・ベイル作品に行こうかと考えてたんですが
先週こちらのクラシックチャンネルに初登場!
Kaz.さんのところでも「インデックスベスト」【し】の5本に選ばれてたこれ。いくっきゃないわ~!

ってことで、今日は『ジョニーは戦場へ行った』。勿論ジョニー繋がりでっす(笑)
1971年(米)監督:ダルトン・トランボ出演:ティモシー・ボトムズ/キャシー・フィールズ/ジェイソン・ロバーズ/マーシャ・ハント/ドナルド・サザーランド   ダイアン・ヴァーシ/デヴィッド・ソウル/モーリス・ダリモア
■感想
戦争によって“意識ある肉塊”と化したひとりの青年を描いたダルトン・トランボの小説を、38年の発表から数えること33年、ようやく自身の脚色・初監督で完成させた異色作(allcinemaより)

ジョー(ティモシー・ボトムズ)は恋人の心配をよそに、楽観的に第一次世界大戦に出征するも、戦地で爆撃を受け負傷。
気付けば四肢を切断され、目も見えず耳も聴こえず、喋ることすら出来ない身体で野戦病院に収容されているのでした。
自分の身に何が起こったのかを知り、絶望の淵に沈むジョー。
身元を特定することも出来ないため、家族との再会も果たせず、暗闇の中、ひたすら孤独に時を過ごすしかないのです。



なんという悲惨な物語!
ところがこの映画の面白いところは、ジョーの意識下で繰り広げられる想い出、または夢の映像を交え
瑞々しく生の喜びを描きあげているところなんです。

一度だけ交わした恋人との愛の営み、父との想い出、
子供時代の記憶から、小動物の生き生きとした姿など、光に溢れた美しい映像が組み込まれます。
時に それは幻想的で、ジョーの生き方を示唆するキリストが登場してみたり。。
ユニークなキリスト役にドナルド・サザーランドだったのがウケましたw

しかしながら現実は、暗い病室に横たわる肉の塊。
喜びに満ちた記憶の中の世界はカラーで、現実の世界はモノクロで描かれ、そのギャップがあまりにも悲しいのです。

そんな中、彼は一人のナースによって、外界と繋がる術を見出します。
ジョーが「メリークリスマス!」と心の中で叫ぶシーンは思わず涙。

このあたり、『潜水服は蝶の夢を見る』を思いだしますね。

ただ、違うのは『潜水服~』は前向きに生きる術を主人公自ら選択できたのに対し、
ジョーには、何も与えられなかったこと(涙)


ところで、『パブリック・エネミーズ』では、ジョニー演じるジョン・デリンジャーはジョニーと呼ばれていました。
でもこちらの主人公はジョー。なのに何故タイトルがジョニーなのかと不思議に思っていたのですが、

これは原題『OHNNY GOT HIS GUN』が、第一次世界大戦時の志願兵募集の宣伝文句「ジョニーよ、銃を取れ(Johnny Get Your Gun)」からきていて、戦争に対する皮肉となっているということを知りました。

トランボの描く痛烈な反戦映画。今ではカルト的な位置づけにあるようです。





★★★★*