しまんちゅシネマ

映画ノート

蝿の王


関連映画祭り 17本目!

昨日の『ザ・ビーチ』に続いて、
今日は、隔離された土地で独自のコミュニティを築いていく繋がり(長っ)、『蝿の王』でっす。
1963年(イギリス)監督:ピーター・ブルック原作:ウィリアム・ゴールディング出演:ジェームズ・オーブリー/Tom Chapin/ヒュー・エドワーズ/Roger Elwin【ストーリー】アメリカの陸軍幼年学校の生徒たちを乗せた飛行機が墜落した。とりあえず一命を取り留めた24人の少年たちは、近くの無人島へ漂着する。しかし彼らは、世間から隔絶されたこの島で、己の内に秘めた野性に目覚め、やがて理性と秩序を失ってゆく……。
■感想
飛行機事故で無人島に漂着した子供たちが、独自の社会を形成し人間の本性を露にしていく姿を描いた作品です。

無人島では子供たちが、一人の少年のホラ貝の音に引きよせられるように次々に姿を現わす。
飛行機が墜落し漂着したという設定の割に、子供たちは怪我を負っている訳でもなく、着衣に乱れもない。
↓だいたいこんな格好で聖歌を歌いながらやってくるし‥


事故の恐怖を振り返るものもいないまま、互いに名乗り合い、リーダーを決める。

なんとも非現実的な展開に驚くところだけど、あくまで映画はフィクションで、寓話的ということの象徴なのか。

ここで子供たちは独自の社会を形成していきます。

秩序と話し合いを重んじ、救助を待とうとする理性派の少年をリーダーとするグループと
救助は一生来ないのだから、自分たちで生き延びることを考えようとする狩猟派のグループと2派に分れるのですが
だんだんとこの狩猟派が力を持ってくるのですね。

誰かが「野獣」を見たと言えば、それは全員の恐怖の対象となり、
恐怖から逃れるために豚の首をいけにえに、「野獣」の怒りを鎮めようとする。
蝿のたかった豚の首がタイトルの「蝿の王」です。



子供たちが野生化していく様子が怖いんですよね~。
次第に秩序が消え、獲物を狩る快楽が引き金になるのか、芽生えてくるのは残虐性。

ザ・ビーチ』では、いい大人が楽園を求めることに共感できない部分があったけど、
善悪の判断も曖昧で、人格も未完成の子供が、容易に強いものに流れるというのは説得力があるよね。

子供たちの狂気が描かれる終盤には戦慄です。
90分と言うコンパクトさがいいですね。これ以上は耐えられない^^;

★★★★☆