しまんちゅシネマ

映画ノート

ダイアナの選択


2008年(米)監督:ヴァディム・パールマン出演:ユマ・サーマンエヴァン・レイチェル・ウッドエヴァ・アムリ/オスカー・アイザック/ガブリエル・ブレナン   ブレット・カレン/ジャック・ギルピン/モリー・プライス【ストーリー】郊外ののどかな町に暮らす高校生のダイアナ。退屈な毎日に不満を募らせ、反抗的な態度で周囲も手を焼く不良少女。そんな彼女はひょんなことから内気でまじめな少女モーリーンと仲良くなる。まるで対照的な2人だったが、いつしか深い友情で結ばれていく。そんなある日、学校の女子トイレにいた2人は銃乱射事件に巻き込まれる。2人の前に現われた犯人は銃口を向けながら“どちらかひとりを殺す、選べ”と残酷な選択を迫る──。それから15年。ダイアナは優しい夫とかわいい娘に囲まれ、幸せな家庭を築いていた。しかし、事件のトラウマは今もなおダイアナの心に深く暗い影を落としていたのだったが…。

お盆だからスピリチュアル 4本目!『ダイアナの選択

■感想
ローラ・カジシュキーの『春に葬られた光』を映画化した、衝撃のヒューマンドラマです。

高校の校内で一人の生徒による銃撃事件が起き
犯人はトイレで他愛無い話に興じていたダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)と親友のモーリーン(エヴァ・アムリ)に、「二人のうちのどちらかを殺す。選べ」と過酷な選択を迫る‥。

なんとも衝撃的なシーンから始まり、画面は一転15年後のダイアナ(ユマ・サーマン)の姿を映し出します。

優しい夫とママ似の可愛い女の子とともに、閑静な住宅街に暮らす大人のダイアナ。
光に溢れ、キッチンには花が飾られ、、理想的な暮らしのはずなのに、何故かダイアナの表情は暗い
彼女は、「あの日の選択」にトラウマを感じて生きているのでした。

最近良くある、、って、よくあったら困るんですが、学校内での銃撃事件が題材ですが、
日本でも銃こそ使わないけれど、同様の事件は起こっていますよね。秋葉原しかり、大阪のパチンコ店しかり。。

犯人の身勝手な衝動により、尊い命を奪われたとしたら、、こんな悲しいことはありません。
誰にも幸せな人生を生きる権利はあるのです。


大人になったダイアナの姿と、銃撃事件当時のシーンとが交互に描かれ、
ダイアナの苦悩を見せながら、事件は衝撃の瞬間へと向かいます。


そして最後には「あ!」っと驚かされてしまうのですが、、
この作品は勿論その驚きも売りなのかもしれません。
そのため、あざといと思う人もいるかもしれませんが‥

全容が明らかになった瞬間には切なさとある種のカタルシスを感じることになります。
歩むべき人生を歩めなかった若者に心を痛め、同時に‥。

あ、これ以上は書けません。
でも成長したダイアナの姿を通し、運命を分けた二人の若者の人生を同時に見せてもらった、そんな気がします。

監督は『砂と霧の家』のヴァディム・パールマン
前作同様に、深い余韻の中に、命の尊さを感じる作品でした。社会的な問題を絡めるのもお得意な監督さんでしょうか。

ダイアナの夫は‥というところでは涙が溢れてしょうがなかったわ。
高校生のダイアナを演じたエヴァン・レイチェル・ウッドは上手いですね。

乱射事件当日の教室のシーンは戦慄するほど静かで怖いですが、映像的なセンスも感じました。

あまり情報を入れずに観ることをお薦めします。

★★★★☆