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映画ノート

永遠と一日


1998年(ギリシャ/フランス/イタリア)監督:テオ・アンゲロプロス出演:ブルーノ・ガンツ/イザベル・ルノー/アキレアス・スケヴィス/デスピナ・ベベデリ   イリス・ハチャントニオ/ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ【ストーリー】北ギリシアの港町テサロニキ。不治の病を自覚している老作家アレクサンドレは、親友たちと海辺の家から島まで泳いでいった少年時代の夢から覚める。彼は今日、すべてのものに別れを告げ、明日病院へ行こうと決意していた。そして娘の家へ向かう途中で難民の少年と出会った……。

お盆だからスピリチュアル 5本目! 自分に残された日があと一日だとしたら‥『永遠と一日

■感想
死期の迫った老作家と難民の子供との1日間の交流を描いた人間ドラマです。

重い病のため、明日には病院へ行こうとしている老作家アレクサンドレを演じるのはブルーノ・ガンツ

自分に残された時間があと一日だとしたら
私は何をして過ごすでしょうね。

この映画の主人公は、まず妻の死後3年間お世話になった家政婦に別れを告げます。
そして愛犬の面倒を見てもらおうと娘の家を訪ね、そして老いた母にも「旅に出る」ことを告げにいきます。

予定外だったのは、たまたまアルバニア難民の少年を匿うことになり、彼を国境付近まで連れて行くことになったこと。

この映画のキーワードは亡命です。
一つは難民の少年の亡命であり、一つは主人公の内的な亡命、不在です。
というのは主人公は詩の仕事に没頭するあまり、家族と深く関わることをしてこない人だったんですね。
そのことは今人生を終えようとする主人公の最大の悔いとなってしまっていました。

映画は過去と現在とが交錯し、しかも何やら幻想までもが混在するつくり。
しかも詩的な表現が多く使われているため、その全てを理解するのは私には困難でした。

でもでも、何でしょう、この作品のもつ力は。
死ぬまでの一日のお話であるのも関わらず、監督は「死」を描いているつもりはないと言っています。
それは「死」は「生」へと繋がるから。

映画の中の二人の亡命者(主人公と少年)はともに繋がり、新たな「生」へと向かうということなんでしょうね。
主人公の悔恨は痛々しいですが、誰とも深く関わることが出来ないでいた主人公が、
少年に出会い、心を開いていき、ついには寂しい気持ちをぶつけ、少年の未来に向け力を尽くす姿にただただ感動。

少年の素朴な演技もいいのですよ。

そしてエレニ・カラインドロウの音楽(←ここクリックで是非聴いて!)も最高に味わい深く素晴らしい!!

道に死体が転がっていたり、国境の柵をよじ上ろうとうごめく人影とか、、、正直「??」なところも。
死を前にした主人公だから見えるのか、はたまた神の目線の観客だけに見えているのか。。

2度観たものの、結局よく分らないところは残ってます。
でも2度目もやはり後半は涙にくれてしまいました。

監督は『ユリシーズの瞳』のテオ・アンゲロプロス
あわわ、監督さんの作品まったく観たことなかった。
カンヌでパルム・ドール受賞

これはヤバいです。


★★★★*
↑理解できたらきっと満点