しまんちゅシネマ

映画ノート

ありふれた事件


1992年(ベルギー)監督:レミー・ベルヴォー/アンドレ・ボンゼル/ブノワ・ポールヴールド出演:ブノワ・ポールヴールド/レミー・ベルヴォー/アンドレ・ボンゼル/ジャン=マルク・シェニュアラン・オペッツィ/ヴァンサン・タヴィエ

「今週の注目映画」で人気でしたシリーズ 3本目『ありふれた事件』

■感想
連続殺人犯の素顔をドキュメンタリーに納める様子を描いたベルギー産超異色作です。

シリアルキラー、ベン(ブノワ・ポールヴォールド
ヤンキーあがりのプーチンさんみたいな顔して、こいつがほんと、サイコでいかれたやつ。

郵便配達の仕事は金のある年寄りの調査のため‥
年金を持ってそうな年寄りを狙っては強盗、殺人を繰り返す。
子供だって関係無し。レイプなんてなんのその。
撮影クルーは彼に同行し、その一部始終をカメラに収めるわけなんですね~。

ありえん!
はい、あり得ません。

もちろんこれ作り物。いわゆるフェイクドキュメンタリーです。



こんなとんでもないことを思いついたのはベルギーの3人の若者で
彼らは殺人者、監督、カメラ係として映画にも出演しています。

そんな自主制作ビデオみたいなノリなのに
驚くのはそのリアルな映像。
これって、実際の殺人の瞬間のビデオを使ってるんだよね?って聞きたくなるほどのリアリティなんですね。

やってることは極悪非道だし、モラルのかけらもない。
ところが、この主人公の殺人哲学が面白く、そのうんちくに笑っちゃう。

心臓の悪い年寄りの耳元で大声を出して驚かせショック死させ
「弾の節約さ。心臓の薬が置いてあるのが目にはいったからね。」とうそぶくw

死体を川に沈める時にも、死体が浮かんで来ないようにする重しと死体の割合のうんちくとか~w
へらへら笑ってるかと思うと、いきなりキレたり、間抜けキャラだけど知能犯的、
モンスターなんだけど、家族に愛される大人子供のベンがやたら可笑しいんですわ。

撮影クルーもいつしか殺人を手伝ったり、一緒にレイプしてたりするんだから
こんなのアカンやろ~と思うものの、このブラックなユーモアのおかげで
見てる方も罪悪感を免れるという、、なんとも不思議な作品ですね。

しかしながら制作者の意図はなんでしょう。

愛する者を失い初めて見せるベンの涙、そして彼らの結末に
犯罪の虚しさ、命の尊さを訴えてるのかもしれません。
‥と、思いたい^^;


でも、殺人願望のある方や、それ系オタクな方などには観て欲しくないかもです^^;



★★★*☆