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映画ノート

ドリアン・グレイの肖像


1945年(米)監督:アルバート・リューイン原作:オスカー・ワイルド出演:ハード・ハットフィールド/ジョージ・サンダース/ドナ・リードアンジェラ・ランズベリーピーター・ローフォード

ハロウィン・ホラー祭り11本目! 心を映す絵『ドリアン・グレイの肖像』

■感想
コメディ祭りになってきてるので少し軌道修正。
今日はオスカー・ワイルド原作の古典を映画化したアルバート・リューイン版『ドリアン・グレイの肖像』です。

1885年、富と美ぼうにめぐまれたドリアン・グレイは、画家バジルに肖像画を描かせた。
肖像画が出来上がったその日、まるで生きているような不思議な魅力を放つ絵を前に
この画の若さを僕がいつまでも保つことが出来たなら‥と呟くドリアン。
ドリアンのつぶやきをエジプトの黒ネコの置物が訊いていた‥。

ドリアンは画家の家で知り合った皮肉屋ヘンリー卿の逆説的な見識に影響を受けるようになり
場末の女優に恋するものの、冷たく別れを告げるなどの悪徳を繰り返すことになります。
そしてそのたびにドリアンの肖像がその表情に微妙な変化をきたすんですね~。
しかも肖像を手にして以来、ドリアンは全く老いることなく美しさを保つんですが
汚れなき美しき青年であり続けるために、ドリアンは全てを葬り去り
画家のバジルさえも殺してしまいます。
やがては、意図しないところで人の死が溢れ、ドリアンは自分の存在に葛藤し
人と同じように老いることが出来たらと願うようになる なんとも皮肉ですね。

人はあるべき人生を受け入れ忠実に生きなければねぇ、なんて思いますね。


この作品は残念ながら日本ではソフトになってないようですが
ドリアンを演じたハード・ハットフィールドの美しさは溜め息もので
その美しさを保つためには悪魔に心も売っちゃうよね~と納得するほどw



ただドリアンの心のうちを吐露するのが全てナレーションや手紙の中となっていて
ドリアン本人はあまり表情を変えないシーンがほとんどだったので、演技が上手いのかどうなのか判断しづらく
その点では残念です。

映像的に面白かったのが、この映画はモノクロなのに
ドリアンの肖像が映し出されるシーン4場面のみがカラー映像なんですよ。
そのため絵の中のドリアンの方に、実物以上の精気を感じるんですね。
醜く変わるシーンのインパクトも半端ないですから。
ホラーとカテゴライズされるのは、この絵とラストシーンの恐ろしさ故でしょうね。



ちなみに今年リメイクが製作され、ドリアンを演じるのは『ナルニア国物語』で美しい王子を演じたベン・バーンズ
美しくなければこの役はつとまらないですからね。
イギリスでは9月にすでに公開されたようですが、日本やアメリカでの公開は今のところ情報なしです。





★★★★☆