しまんちゅシネマ

映画ノート

ホルテンさんのはじめての冒険


2007年(ノルウェー)監督:ベント・ハーメル出演:ボード・オーヴェ/ギタ・ナービュ/ビョルン・フローバルグ/エスペン・ションバルグ
■感想
キッチン・ストーリー」のベント・ハーメル監督によるハートウォーミング・コメディ。
とっても愛しいと思える作品でした。

主人公のホルテンさん(ボード・オーヴェ)は勤続40年の鉄道運転手。
生真面目でつましい生活を送るホルテンさんだが、
定年前夜のお別れ会の際のちょっとした手違いから、リズムが狂ってしまい、翌朝人生初の遅刻!
なんと最後のお勤めの担当の列車に乗り遅れてしまう。

最後の大失態に茫然自失のホルテンさんは、いつもと全く違う行動に出て、思わぬ経験をすることになります。
空港に行けば麻薬所犯と間違われ、お○の穴まで調べられたりね(笑)
その経験の全てがなんともオフビートで可笑しい。

でもこの映画が愛しいのは後半。

今は高齢で老人施設にお世話になってる母親に、彼は何か罪悪感に似た気持ちを感じていたんでしょう。
夫に捨てられそれでも懸命に育ててくれた母の期待に応えられなかった自分。

そんなホルテンさんが出向いた行きつけのタバコ屋で主人の死を知らされたり、
偶然出会い行動を共にした老人の死を目の当たりにしたりすることで、彼の中で何かが変わるんですね。
そしてあることに挑戦!!

ある老人が言う「人生は常に手遅れだけど、言い換えれば何だって間に合う」というのがこの映画のテーマでしょう。
途中、老いていくことの切なさを感じるものの
それでもまだ人生は楽しめるはず、そんな気持ちになれるラストシーンに心温まります。


単にオフビートなコメディにあらず。人生讃歌な素敵な作品でした。




ノルウェーって、なんか日本に通じるところがあるような。何気に親近感‥。


★★★★☆