しまんちゅシネマ

映画ノート

渇き


2009年(韓国)監督/脚本:パク・チャヌク出演:ソン・ガンホキム・オクビン/シン・ハギュン/キム・ヘスク/オ・ダルス
■感想
今年はなんたってヴァンパイア映画が大流行り。
今日は『オールド・ボーイ』のパク・チャヌクによる韓国版ヴァンパイアもの。
先月のハロウィンホラー祭りで取りあげた「ヴァンパイア映画25」の10位にランクインしてました。

主演のソン・ガンホが演じるのは敬虔な神父サンヒョン。
病院で死の床にある人を天国に導くべく祈りを捧げ、多くの人に信頼される彼は、
バチカンで行われていた死の病のワクチン研究に自らの身体を捧げるが、不幸にもウィルスに感染。
ところが死の間際に受けた輸血により、死亡が確認された直後に息を吹き返す。

ヴァンパイアの血液を輸血された?
やがて神父は、自分が「血」を求めてしまう身体になったことに気付きます。

罪と対極にいなければならない神父が、人の命を殺めるという大罪を犯す。
その苦悩を描いている点が興味深いです。

最近のヴァンパイア映画の主流がそうであるように、本作もロマンスを絡めているんですが
ヴァンパイアと人間の恋というありがちなストーリーではなく
後にヴァンパイアとなったヒロインを神父と対比させ、神父の苦悩を際立たせるているんですね。


欲望に打ち負かされながらも、罪を最小限に抑えようとする神父の血を求める様子は
世のヴァンパイアが見たら嘆きそうに、ちょっとせこいのよねw ある意味衝撃的ではあるのだけど。
一方宗教心皆無のヒロインキム・オクビンは残虐そのもの。その変身ぶりも見物です。

やや過激な描写もあり、後半はコメディか?と笑っちゃうんですが
ホラーなんてこんなものよね。殺人事件を解明するといったミステリーな要素も楽しめます。
韓国の原題は『コウモリ』という意味らしいけど、個人的には英題『サースト』の方に軍配を上げたい気分。
どうあらがっても本能が血を求めてしまう、そんな枯渇した感じがよく現れてますよね。

主演二人の絡みのシーンはヒロインの身体の美しさも手伝って、何気に官能的でした。
でもって噛まれるのって、やっぱりイイみたいね(笑)

日本ではまだ公開の予定はないけど、これは結構いけると思います。
カンヌで審査員賞受賞


★★★★☆