しまんちゅシネマ

映画ノート

さよなら子供たち


バスターズと一緒にKill Nazis!2本目 『さよなら子供たち

1987年(フランス/西ドイツ)監督/脚本:ルイ・マル出演:ガスパール・マネス/ラファエル・フェジト/フランシーヌ・ラセット/スタニスタス・カレ・ド・マルベールフィリップ=モリエ・ジェヌー/フランソワ・ベルレアン/イレーヌ・ジャコブ
■感想
今日は「ナチスによるユダヤ人迫害を描いた作品」から
ナチス占領下のフランスにおけるユダヤ人迫害を描く、ルイ・マル監督の自伝的作品です。

1944年1月。休暇から寄宿舎へと戻ったジュリアンのクラスに、ジャンという転入生がやってくる。
成績優秀なジャンはなかなか級友たちと馴染もうとしなかったが、読書という趣味を通して、
次第にジュリアンに心を開きはじめる。そんなある日、好奇心からジャンのロッカーを盗み見たジュリアンは
ジャンの秘密を知ってしまう……。

その秘密とは、実は転校生のジャンはユダヤ人だということなんですね。
フランスにおいてもナチスユダヤ人迫害は行われ、こんな子供までもが危険から逃れるため身分を偽り
全く宗教の違うキリスト教の寄宿学校に身を置くんです。

12歳の主人公ジュリアンはユダヤ人とは何かも全く知らない。
それでも外に出れば公衆浴場はユダヤ人お断りの表示があったり、レストランからユダヤ人が追い出されたり
そんな光景を目にしながら、徐々にジャンの立場を理解するようになるのですが、
それは同時に大きな秘密を共有するという重荷を背負うことにもなるんですね。

映画は子供たちの日常が映し出され、特に過激な描写があるわけでもありません。
子供だし、と頭の中で楽観的に観ていたのかもしれません。
それだけにラストのナレーションにはショックを受け、後から涙が出て来ました。


あのナレーションは監督自身だったのかな。
監督は「生きているうちに絶対に撮らなければならない作品」として、アメリカでの活動の後
フランスに帰って真っ先にこの作品を撮ったのだそうです。

子供の視線で、静かに戦争の残酷さを描いた作品。
ジュリアンが「ねえ、怖い?」と訊き、ジャンが「うん、いつでも」と応えるシーン
子供たちがチャップリンの映画を大笑いで観るシーン(伴奏されるヴァイオリンが秀逸!)が印象的でした。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞しています。



★★★★☆