しまんちゅシネマ

映画ノート

アドルフの画集

イングロリアス・バスタ-ズ』ついに公開されましたね。

いつもお世話になってるHKさんが、「Are You Ready?」という記事で
バスターズに関連した映画レビューを予告してくれました。
記事中の「Kill Nazis!」にインスパイアされ、プチ・ナチスドイツ特集を思いついたので
早速今日から開始したいと思います。題して「バスターズと一緒に Kill Nazis!」

祭りの主旨は「ヒトラーナチス指導部を知る」「ナチスによるユダヤ人迫害を知る」
ナチスの侵略が残した傷跡を知る」と言うもの。(ウィキの分類を参考にしています)
「知る」レベルではありますが、祭りが終る頃には
バターズたちと一緒に「Kill Nazis!」と叫んでるかも!(笑)

一本目は「ヒトラーを知る」ためにこちらの作品から


バスターズと一緒にKill Nazis!一本目 『アドルフの画集

2002年(ハンガリー/カナダ/イギリス)監督:メノ・メイエス出演:ジョン・キューザックノア・テイラーリーリー・ソビエスキーモリー・パーカー/ウルリク・トムセン   デヴィッド・ホロヴィッチ/ジャネット・サズマン/ポール・ラットレイ
■感想
邦題のアドルフというのは勿論アドルフ・ヒトラーのこと。
第一次世界大戦後の1918年を舞台に、画家を目指していた若きアドルフ・ヒトラーと画商との交流を通し
その後のヒトラーが形作られていく過程を描きあげた作品です。

ヒトラーと交流するマックスを演じるのはジョン・キューザック
戦争で右腕を無くし、画商を営む裕福なユダヤ人。
画家を目指すヒトラーと出会い、彼の隠れた絵の才能に投資し、絵を描くことをすすめるのですが
マックスにしてみれば、同じ戦争を体験し、腕は失ったものの、家族に迎えられ裕福な暮らしの出来る自分に反し
戦争で何もかも失ってしまったヒトラーに同情の気持ちがあった様子。

煙草も酒も女にも興味のないストイックな生き方をする変わり者のヒトラー
その弁舌の確かさを買われ、軍のプロパガンダ訓練を受けることになります。
そこで彼はユダヤ人によってドイツが弱小化しているとの教えを受け、深く感じ入ることになるんですね。

マックスはそんなヒトラーに危険を感じながらも、ある種の罪悪感からか、ヒトラーを見捨てることが出来ない。
ところがマックスの好意は空回り、ヒトラーは彼を頼る一方で嫌悪感を感じるというなんとも複雑な心理を募らせていき
ますます政治に傾倒していくことに。

ジョンキュー演じたマックスは架空の人物。なのでこの映画もフィクションではあるのですが
ヒトラーが画家を目指していたという事実を元に、彼がいかにモンスターになっていったかを描いている点で
とっても興味深かったです。


ヒトラーが出て来なくても、軍の方針により反ユダヤは唱えられたのでしょうね。
ヒトラーを演じたのはノア・テイラー。どっから見ても危険に見えます(笑)
演説が次第に力を増し、もう止められない!そんな絶望感にかられる演技。なかなかのものでした。

マックスの妻にモリー・パーカー、愛人にリリー・ソビエスキー
映像的にも美しさを感じる作品でした。


★★★★☆