しまんちゅシネマ

映画ノート

禁じられた遊び


バスターズと一緒にKill Nazis!4本目 『禁じられた遊び

1952年(フランス)監督:ルネ・クレマン出演:ブリジット・フォッセー/ジョルジュ・プージュリイ/シュザンヌ・クールタル/ジャック・マラン   リュシアン・ユベール/ロランス・バディ
■感想
今日は「ナチスの侵略が残した傷跡を描いた作品」から。
監督は『居酒屋』『太陽がいっぱい』のフランスの巨匠ルネ・クレマン
ギターの名曲として有名な『禁じられた遊び』はこんな悲しい映画の主題歌だったんですね。

1940年、ナチスによるパリ占領によりパリを逃れようとする人びとに、空からの爆撃が襲います。
このシーンが驚くほどリアルで恐ろしい。
橋の上で両親を亡くした少女ポーレットは、死んでしまった犬を抱き、一人南仏の片田舎を彷徨ううち
ある貧しい農家の少年ミシェルと出会い、少年の家でひと時を過ごすことになります。

「死」が何かも知らないポーレットは、死んだ犬を土に埋めるという行為により
両親の「死」も理解するようになり、二人は虫などの死骸を土に埋める「お墓作り」に興じていきます。
しかしそれは大人の怒りを買い、二人は再び引き離されることになるのですが‥

戦争によって孤児になってしまったポーレットがあまりに無邪気で可愛らしく
それだけに戦争の悲惨さを思わずにはいられません。

ポーレットにしてみれば「お墓作り」は、死んだ両親やペットの犬を葬るのを同じく
死んだものが雨風を避け、静かに眠る場所を提供するという純粋なもの
ミシェルはポーレットを慰める思いもあったのでしょう。
ポーレットを守り、喜ばせたいという淡いロマンスの始まりでもあったのか。



隣人としょうもない争いを繰り返す大人たちの行為は馬鹿げて見えました。
あえてこんな描き方をしなくても‥と思うのだけど、これは純粋な子供たちと対比させているのかな。
戦争で虫けらのように人の命を奪ってしまう大人たち。
そして虫けらの命を優しく葬り、十字架を立てていく子供たち。
その行為は「禁じられた遊び」として、大人に非難されるのだけど
果たして非難されるべきは子供なのか、、戦争で人の命を奪う大人ではないのか
そんなことを考えさせられました。

ポーレットが「ミシェル!ミシェル」「ママ‥」と叫ぶ切ないラストシーン。
禁じられた遊び」の物悲しいメロディーとともに、ポーレットを演じたブリジット・フォッセー
涙に歪む顔が胸に残ってしまいますね。その後ポーレットはどうなったんだろう。。



★★★★☆