しまんちゅシネマ

映画ノート

謀議


バスターズと一緒にKill Nazis!4本目 『謀議』

2001年(アメリカ/イギリス)監督:フランク・ピアソン出演:ケネス・ブラナースタンリー・トゥッチコリン・ファース/ジョナサン・コイ/ブレンダン・コイル   ベン・ダニエルズ/バーナビー・ケイ/デヴィッド・スレルフォール/イアン・マクニース
■感想
今日はナチスが「ユダヤ人の大量虐殺」を決めた極秘会議の様子を再現した異色作を。

1942年1月20日、ベルリンのある屋敷に15人のナチス高官たちが極秘会議のため集結した。
会議の席で熱弁を奮う親衛隊高官ラインハルト・ハイドリッヒ(ケネス・ブラナー)。
そして90分後、やがて世界を驚嘆させる恐るべきユダヤ人大量殺害計画が可決された…。

ロシアに侵攻したドイツ軍は、思わぬ苦戦を強いられ、その頃アメリカも参戦。
初めてドイツ帝国1000年計画に陰りが見え始めた頃
ゲットーに大量に集めてしまったユダヤ人を、これ以上維持する経済力がない‥

ユダヤ人のいないドイツ」を目指すことには納得のナチス高官の集まりではあるものの
この段階ではまだゲットーに集めたユダヤ人をどうするかは決められてなかったんですね。

集められた15人がそれぞれの立場からユダヤ人の排斥を語り
中には人道的な立場から虐殺に嫌悪を示す者もいるのだけど
会議の招集者であり、ゲシュタポの幹部のラインハルト・ハイドリッヒの威厳に押され
最終的には15人全員が賛成の意を示し、会議は静かに幕を閉じるわけです。

「排斥」の意味が具体的に「抹殺」を意味すると、全員が認識するまでの過程に
驚きと同時に恐ろしさを覚えます。

ハイドリッヒを演じたケネス・ブラナーの一見人当たりが良さそうで、その実氷のような冷徹さ、
ユダヤ人の血が流れているとの疑惑をもたれているナチス党代表のクロプファー博士を演じたコリン・ファース
葛藤の演技、ナチス親衛隊アドルフ=アイヒマン中佐を演じたスタンリー・トゥッチの補佐役ぶり。
英語での演技はマイナス点ではあるものの、全員がシェークスピアの舞台を経験した役者ならではの
演技力でもって、この秘密会議がサスペンスフルに描かれていて、実に見事です。
トゥッチーが淡々と報告するホロコーストの具体的な数字にも驚きますよ。

ガス室の具体的な話を冗談まじりに話すSSの様子にも身の毛がよだつ思いでした。

この映画はアメリカ軍によって発見された議事録を元に描かれているとのこと。
具体的な席の配置や彼らの服装などは想像のものだそうです。

この映画の中にヒトラーはその名前しか出て来ませんが、ナチスユダヤ人への考えを知る上でも
貴重な映画だったと思います。必見ですよ。

★★★★*