しまんちゅシネマ

映画ノート

Dr.パルナサスの鏡



どんな演技を見せてくれるのかと楽しみな一方で、撮影半ばに死んでしまったヒースのことを思うと悲しく
とっても複雑な気持ちで観ていました。

映画的には、幻想的で抽象的な世界が目を楽しませてくれるものの
私には少々理解しづらいところがあり^^; 

それでも不死の若さを手に入れることの代償に娘を悪魔に引き渡すことを約束したパルナサス博士の
憂鬱を描きつつも、娘と父親がわかりあう過程や、娘が本当に大切な人の存在を知ることになるという、
意外にも究極の愛の物語だったという部分は楽しめました。

なんと言ってもヒースが動き始める、その瞬間にはドキドキで
本当にこんな風に生き返ってくれたらどんなにいいか、、そう思ったのは私だけじゃないはず。


昔からのスタイルで観客に見向きもされない一座をモダンにアレンジし、巧みな話術で
奥様連中を呼び込む姿はお茶目で嬉しかったな。



でもヒースは鏡の中の演技に入るまでに死んじゃったんですね。
鏡の中で、ヒースがジョニーに変わった瞬間は、とっても寂しかったです。
ジョニーの台詞に「死」を語るところがあって、それはヒースへの弔いの言葉に聞こえました。

鏡の中のトニーとして、ヒースに変わったのはご存知ジョニー、ジュード・ロウコリン・ファレルの3人。
トム・クルーズも声を上げたものの却下されたんだそうでw
あえてここはヒースの友人に役を受けてもらうことにしたのだとか。

まるで最初から4人でトニーを演じることが決まっていたかのように、違和感なく作られていたのには感心したし、ヒースの遺作をなんとか世に出そうとした関係者の想いが伝わるような気がしました。

私には少々苦手な世界観でもあるし、もしかして好みの分かれる作品かなとは思うものの
スケールの大きい幻想の世界、美しい映像、出演者の楽しい演技と
ギリアムを良く知る皆さんにはきっと満足の作品ではないかと思います。


★★★★☆(ヒースポイント追加なのだw)