しまんちゅシネマ

映画ノート

ミスター・ロンリー


2007年(イギリス・フランス)監督・脚本: ハーモニー・コリン 出演: ディエゴ・ルナ/サマンサ・モートン/ドニ・ラヴァン/ ヴェルナー・ヘルツォーク    レオス・カラックス/ ジェームズ・フォックス/ ジョセフ・モーガン/ アニタ・パレンバーグ

バレンタイン・ロマンス特集第2弾


ロマンス特集といいながら、ちっともラブラブなロマンスものに行き着きませんが(笑)
今日もロマンスというよりはヒューマンでしょうか。
物まね芸人として生きながら人生を模索する人々の心模様に迫る、ちょっと切ないお話です。

ゴルフを始めるとき、まずプロのフォームを観察し真似てみた経験のある人はいるでしょ。
そのうちにタイガーのガッツポーズを決めてみたり。
今なら遼くんでしょうか。そのうちにウエアや髪型まで真似たりして♪


主人公はマイケル・ジャクソンパフォーマーとして生きるマイケル(ディエゴ・ルナ
彼は物まねを披露しているとき以外もマイケルになりきってる男。
マイケルとしてかっこよく(?)ポーズを決めることはできるけど、
自分自身として行動することも、考えることもできないような頼りなげな若者なんですね。
そもそもは自分自分自身を模索して見つからず、代わりにマイケルの姿で自分の内面を覆い隠す。


そんな彼がマリリン・モンローとして生きる女性(サマンサ・モートン)に出会い
マリリンの誘いでスコットランドに移り住むことに。
そこはチャップリンとして生きるマリリンの夫ほか、さまざまな物まね芸人たちが共同生活をしながらショーの実現を目指しています。
彼らにとってショーの成功は大きな意味を持つもの。
それは物まねでしか生きられない人々が、自ら作り上げたアイデンティティに新たな命を吹き込む、そんな夢の実現であったように思います。

ミスター・ロンリー。みんな孤独で寂しい。
自分を隠し、誰かの姿でしか生きられない人々の姿が切ないですが
最後にマイケルの殻を脱ぎ捨てようとするディエゴ君の姿にひと掴みの希望を感じます。


パラシュートはなくても飛んじゃうスカイダイビングの修道女たち。
信じる者は救われる。。
多くの場合は失敗に終わっても。。。ってこと?^^;

観念的なところが多く必ずしも明快な映画ではないけれど
突き抜けるような青空が心地よく、冒頭の「ミスター・ロンリー」の歌も
アートな雰囲気も好きでした。


★★★★☆