しまんちゅシネマ

映画ノート

失われた週末


1945年(米)監督: ビリー・ワイルダー 出演: レイ・ミランド/ジェーン・ワイマン/ フィリップ・テリー/ ドリス・ダウリング    ハワード・ダ・シルヴァ/ フランク・フェイレン
今年のアカデミー特集に入る前に、過去のオスカー受賞作品などを。

ビリー・ワイルダーアルコール中毒の苦悩を描き、
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色、主演男優賞の主要部門に輝いた作品です。

主人公のドンはニューヨークに暮らす売れない小説家。
アルコール依存症で病院を退院したばかりのドンは
兄と週末を保養地で過ごすことになっていたのに、なんだかだと言い訳をして
恋人ヘレンと兄をアパートから追い出し、一人になろうとします。

で、何をするかというと酒探し。^^;
ところが窓の外にぶら下げて隠してあった酒瓶も兄に見つかり捨てられ
その後家中を探すけどどこにもお酒がなーーい。
酒を買うお金もなーい!! 

と、そこに通いのお手伝いが「週末の支払いをもらいに来た」とやってくる。
いつも砂糖の瓶に入れてくれてるというお金をドンは見つけるのだけど
お手伝いさんには「なかったから月曜日に出直してね」と告げ、そのお金を持って酒場にゴー!

酒場でなんとかお酒にありつくものの、でもそれだけで終われないのが悲しいところ。
買った酒瓶を家に隠したはいいけど、隠したところも忘れるし、またお金を得るために盗みもする
落ちるところまで落ち、仕舞いには幻覚まで見るようになる様子は悲惨そのもの。
ドンの心理を描く手段に使われる音楽なんて、恐怖映画さながらですからね~。
いやいや、凄かった。



ドンを演じたレイ・ミランドの迫真の演技も見ものでしたが
面白かったのは、前半に挿入された恋人との出会い・・・コートの入れ替わりのシーンが、
終盤に見事にリンクされてたこと。これには拍手だった~。

最後にちょっぴり希望を覗かせるところは、甘いとは思うものの
(実際にはこんな簡単じゃないはず)
徐々にアル中の症状が加速していき、苦悩する様子をいやというほど見せきった手腕は凄い。
古い映画なのに、マジ緊張しましたよ。

アル中の教育ビデオとして使えそう。


★★★★☆