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映画ノート

ニア・ダーク/月夜の出来事


1987年(米)監督:キャスリン・ビグロー出演:エイドリアン・パスダー/ジェニー・ライトランス・ヘンリクセンビル・パクストンジャネット・ゴールドスタイン/ジョシュア・ミラー/マーシー・リーズ/ティム・トマーソン
■感想
ヴァンパイア3本勝負 2本目
今日は今年のアカデミーを制したキャスリン・ビグロー監督の『ニア・ダーク/月夜の出来事』です。
デビュー作『ラブレス』が共同監督ということで、一人で監督するのはこちらが初。
本作はハロウィンホラー祭りで紹介したロットントマト選出ベスト25ヴァンパイア映画の第5位に選ばれていて気になってんだけど、キャスリン・ビグロー監督作だったのね。

***
吸血鬼の少女に噛まれ同族となり、その集団に加わった青年の逃避行と戦いを描くホラー・アクション


エイドリアン・バスター演じるケイリブは、ある夜可愛い女の子メイ(ジェニー・ライト)に出会い人目惚れ。
このメイが本当に可愛いんだけど、実はヴァンパイア!
キスを迫られて、ついついケイリブの首を噛んでしまいケイリブはヴァンパイアに・・・

と書くと、普通のヴァンパイアものみたいだけど、これはかなり異色です

メイが行動をともにするヴァンパイア仲間というのは、昼間はシェルターのようなところで太陽を避け
夜は黒いバンを乗り回し、残忍に人を襲う、パンクな暴力集団と化す、その描写がえぐい。

メイに噛まれたケイリブは、彼らと同類になることを嫌悪しながらも肉体の苦痛とメイへの愛から苦悩することに
一方突然姿を消したケイリブを探し、父親と妹は旅に出る

この映画は暴力の誘惑にさらされた青年を取り戻そうとする家族の愛を描くロードムービーであり、
青年の冒険とロマンスを描く青春物語でもあります。

印象に残ったのはヴァンパイア集団の一人の少年。
酒場でタバコを吸い、酒場での暴力沙汰を平気な顔で眺める姿には驚くものの
長い年月生きていたことを思うと、子供の姿はしていても中身は大人なのかもしれない
その彼がケイリブの妹サラに出会い、自分のものにしようと執着するのですが
まるで、子供が泣きじゃくりながら横取りされたオモチャを取り返そうとするかのよう
喩え自分の身体が太陽にさらされ燃え上がろうと、唯一手にした友だちであるサラを手放したくない
その姿が哀しすぎました。

警察にシェルターを包囲され、銃弾に貫かれ差し込む太陽にさらされるシーンは
ニューシネマのクライマックスさながら。

難をつければ、ヴァンパイアからの回復(笑)
こんなに簡単だったら誰も長いこと悩まんだろって思うのだけどw

主役二人が美形なので許す!(笑)



★★★★☆