しまんちゅシネマ

映画ノート

フェーズ6


2009年(米)
監督: アレックス・パストール
出演:  クリス・パイン/ルー・テイラー・プッチ/パイパー・ペラーボ/エミリー・ヴァンキャンプ/クリストファー・メローニ

 
■感想
巨匠シリーズ中ですが、ショートブレイク
今日はまもなく日本公開の感染ものサスペンス『フェーズ6』を。
フェーズっていうのは、インフルエンザ流行期によく耳にしたと思うけど、
感染の警戒レベルを表す指標。
フェーズ6はその中で最も警戒レベルの高いパンデミック状態を言うんですね。


冒頭、幸せそうに浜辺で遊ぶ兄弟の様子を粗いビデオ映像で映し出す
画面が変わり、ドライブ中の4人の若者。
ブライアン(クリス・パイン)とダニー(ルー・プッチ)の兄弟とそのガールフレンドビリーとケイト。

そのとき、前方に道をふさぐように停められた車を発見。
4人の顔が一気に曇る
男が車から降りた。

「窓を閉めろ」とブライアンが命じ
4人は緊張の面持ちで窓を閉める。
「ガス欠なんだ、ガソリンを少し分けてくれないか」と男。
「余分な燃料はないんだ。それ以上近づくな!」とブライアンが叫んだとき
窓の外に血のついたマスクをした女の子を発見したケイトが叫ぶ
「見て! 感染者よ」
「!!」4人は父子を残し、急発進してその場を走り去った
 
何が起きてるのかもわからないままに緊張の中に放り込まれるのですが
このとき、致死率100%の未知のウィルスにより街はゴーストタウンと化し、生存者はわずかという状態。
ブライアンたち4人は、安全な場所を求め、
兄弟が子供の頃に過ごしたメキシコ湾のビーチに向かっているのでした。
生き残るためのルールは感染者と接触しないこと


最近では多くの感染ものがゾンビを登場させてグロいホラーに仕上げているけど、これは違います。
2,3感染者を映し出すシーンがあるものの、さほど怖くはない。
にも関わらずぞっとするのは、ルールを守り生き延びようとする彼らによって顕になる人間のエゴでした。
お調子者の兄ブライアンに『スタートレック』のクリス・パイン
心優しい弟ダニーに『サムサッカー』のルー・テイラー・プッチ
冒頭に流れるビーチで遊ぶ幼い兄弟の様子があまりに幸せそうだから
兄弟のたどる運命の悲しさに切なさが込み上げちゃいますね。
 
極限状態で人間はどういう行動をとるのかを辛らつに描きあげた本作
もっと優しい目線で描くことも可能でしょうけど、これが真理かもしれない。
85分というコンパクトさで駆け抜ける緊張と衝撃の中に、兄弟の関係をさりげなく描きます。
下手なグロ映像を入れずに、人間の本性に焦点を当て終末観を描き上げる潔さがいいです。
 
日本公開は4/24~