しまんちゅシネマ

映画ノート

アンチクライスト




■感想
今日はカンヌで物議をかもし最低映画賞を獲得してしまったラース・フォン・トリアーの新作を。
 
冒頭、モノクロ映像で描かれるのは男女の熱いセックスシーン
隣の部屋ではまだ小さい男の子がベッドを這い出し、雪の降る窓辺から身を乗り出し・・・

美しくも衝撃的なプロローグが終わると、次の章は悲嘆。
息子を亡くした哀しみに打ちひしがれる夫婦。
あまりの哀しみに憔悴していく妻を癒し続けるセラピストである夫は、
催眠療法から妻の悲しみの本質を探ることを試み
悲嘆の根源となっている「森」に向かうのです。


一年前に夫婦で過ごしたエデンと名づけたキャビンで過ごしながら、妻に精神療法を試みようとする夫。
そこでとんでもないことがおきる事など予測だにせず。。
 
 
原題のanticristはそのまま訳せば反キリストあるいは偽キリストということでしょうか。
「プロローグ」「悲嘆」「苦しみ」「絶望」「三人の乞食」「エピローグ」と6章で成り立つのだけど
特に「三人の乞食」の部分が宗教的。
監督の独自の宗教観が入っていることは間違いのないところでしょう。
妻は魔女狩の論文を書いているという背景もポイントで
その思想によって引き起こされる最後の惨劇が哀しく恐ろしいのです。。
 
なんたって過激な性描写があるし、『ソウ』を思い出させる痛い描写には思わずひえ~っとなるのだけど
言われるように最低な作品ではなく、かなり内容の濃いものだと思います(理解は難しいけど)。


途中登場する傷ついた鹿、狼、カラスは気づけばシャルロットのそばで静かにたたずんでいました。
終わってみれば「あー」と思うところです。きっと「3人の乞食」を意味していたのでしょうね。
キリスト教についてももう一回勉強して再見してみたいと思いましたよ。
 
妻を演じたシャルロット・ゲンズブール
全裸で自慰シーンを演じたり、女性のアソコを切っちゃったり^^;過激なシーンが話題となりましたが
(映画自体はそれにより叩かれました)、悲嘆から狂気まで、
悲しみからの救いを求める妻を熱演し、カンヌ女優賞獲得
夫役のウィレム・デフォーは・・・お疲れ様でした~。
 




 
日本公開の予定は今のところありません。